内容説明
不況・戦争など直面する危機を乗り越え、福祉先進国の礎を築いた経済学者たち。ケンブリッジ学派と双璧をなしたスウェーデン経済学の全体像を、彼らの政治・世論との深いかかわりとともに初めて解明、福祉国家への合意を導いた決定的役割と、現代におけるその変容までを鮮やかに描き出す。福祉国家への信頼はいかに生まれたのか。
目次
スウェーデン社会をつくった経済学者たち
第1部 黎明から「第1世代」の経済学者へ(「大国の時代」・「自由の時代」と重商主義―スウェーデン経済学の黎明;ダヴィッドソンとスウェーデン経済学界の形成―自由主義の勃興;新マルサス主義者としてのヴィクセル―「奇矯過激の人」の改革思想;ヴィクセルの貨幣理論―累積過程への視座;カッセルとヘクシャーの保守主義・自由主義―「第1世代」の知的遺産)
第2部 「第2世代」とストックホルム学派の成立(「経済学クラブ」における世代間対立―「中間世代」から若手の台頭へ;リンダールとミュルダールの動学的方法―ストックホルム学派の初期形成過程;オリーンの経済学―貿易理論から貨幣的経済理論へ;失業委員会での協働―ストックホルム学派の群像;大恐慌期の金融政策と「新しい財政政策」―リクスバンク・社民党・経済学者)
第3部 ケインズ革命とストックホルム学派(ケインズ『一般理論』の形成とストックホルム学派―国際的人物交流;「先行性論争」とストックホルム学派―オリーンの「エコノミック・ジャーナル」論文;ストックホルム学派の衰退―集団の解散と学術的要因)
第4部 スウェーデン・モデルと「第2世代」の経済学者(スウェーデン・モデルの政策論争―「社民党対自由党」の福祉国家路線;国際社会の平和と「福祉世界」―冷戦下での中立国の役割;「ノーベル経済学賞」―リクスバンクの反撃)
スウェーデンにみる経済学者の社会的影響力
著者等紹介
藤田菜々子[フジタナナコ]
1977年三重県に生まれる。現在、名古屋市立大学大学院経済学研究科教授。著書『ミュルダールの経済学―福祉国家から福祉世界へ』(NTT出版、2010年、経済学史学会研究奨励賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
藤田 菜々子[フジタ ナナコ]
著・文・その他