目次
第1章 酪農指定団体制度廃止の真意
第2章 何が問題なのか―2014年のバター不足が投げかけたこと
第3章 牛乳・牛肉についての政府のTPP影響試算―「影響がないように対策するから影響なし」の検証
第4章 不当な牛乳の価格形成を助長させてはならない
第5章 欧米における酪農の位置づけに学ぶ
第6章 今を凌げば、適切な政策措置と現場の努力で日本酪農の未来は開ける
第7章 本当に「強い酪農」を目指して
おわりに―2010年の指摘から現在までの変化
著者等紹介
鈴木宣弘[スズキノブヒロ]
1958年三重県生まれ。1982年東京大学農学部卒業。農林水産省、九州大学教授を経て、2006年より東京大学教授。専門は農業経済学。日韓、日チリ、日モンゴル、日中韓、日コロンビアFTA産官学共同研究会委員、食料・農業・農村政策審議会委員(会長代理、企画部会長、畜産部会長、農業共済部会長)、財務省関税・外国為替等審議会委員、経済産業省産業構造審議会委員を歴任。国際学会誌Agribusiness編集委員長。JC総研所長も兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
国内外の酪農・乳業を取り巻く情勢は厳しいが、未来への展望を持たねばならない。そこで、今後の我が国の酪農・酪農協・乳業のあり…なぜ、バター不足が繰り返されるのか。誤った「規制緩和」はバター不足どころか、子供の成長に不可欠な飲用乳が店頭から消える事態を招きかねない。酪農危機をチャンスに変えて、命の源である牛乳・食料を守る方策を探る。
はじめに
第1章 酪農指定団体制度廃止の真意
「酪農家のため」はうそ
指定団体廃止は理論的に間違い
英国で起きた乳価暴落の教訓
根っこはひとつ
第2章 何が問題なのか─2014年のバター不足が投げかけたこと─
長期的な酪農所得の低迷
固定的補給金の限界
需給調整機能の負担
小売からの川上部門へのしわ寄せ
将来計画が立てられる最低限の経営安定メカニズム─重要なのは
「予見可能性」─
今が現場の踏ん張りどころ
第3章 牛乳・牛肉についての政府のTPP影響試算
─「影響がないように対策するから影響なし」の検証─
影響試算の考え方と比較
酪農
牛肉
酪農・肥育牛における収益性分析
第4章 不当な牛乳の価格形成を助長させてはならない
生産者の取り分は「不当に」低い
生乳流通・取引体制検討の欠落点─最大の問題にメス入れず─
取引交渉力の不均衡
不完全な市場の規制緩和は不当な価格形成を助長する
不完全な市場は民間任せでなく公正な取引のための政策介入が必要
生産調整から販売調整へ
第5章 欧米における酪農の位置づけに学ぶ
2014年農業法による米国酪農政策の強化─米国の酪農収入保険の真実─
英国で起きた大手スーパー、多国籍乳業の市場支配力の助長
Tescoによる生産者のグループ化をどう評価するか
EUにおける「Milk Package」
対照的なカナダ─「三方よし」の価格形成─
第6章 今を凌げば,適切な政策措置と現場の努力で日本酪農の未来は開ける
中長期的な乳製品需給の逼迫基調…
欧米にとって酪農は「公益事業」,まさに「聖域」
世界の乳価が日本水準に近づいてくる
全面的にプール乳価に基づく補填に切り替えるのが社会的にベスト
小売の買いたたきが放置されると乳価が酪農家に還元されない
生・処・販と消費者のすべてが幸せなカナダの価格形成を見習え
加工原料乳価1円引き上げに20億円,飲用乳価でも40億円
第7章 本当に「強い酪農」を目指して
本物の品質
牛の健康がすべてにつながる
遺伝子組み換え牛成長ホルモン
発想の転換─「家族経営」とは何か─
海外の飼料には頼れなくなってくる
「今だけ,金だけ,自分だけ」=「3だけ主義」の克服
おわりに─2010年の指摘から現在までの変化─
鈴木 宣弘[スズキ ノブヒロ]
1958年三重県生まれ。1982年東京大学農学部卒業。農林水産省,九州大学教授
を経て,2006年より東京大学教授。専門は農業経済学。日韓,日チリ,日モンゴ
ル,日中韓,日コロンビア FTA産官学共同研究会委員,食料・農業・農村政策
審議会委員(会長代理,企画部会長,畜産部会長,農業共済部会長),財務省関
税・外国為替等審議会委員,経済産業省産業構造審議会委員を歴任。国際学会誌
Agribusiness 編集委員長。JC総研所長も兼務。『食の戦争』(文藝春秋,2013年),
『岩盤規制の大義』(農文協,2015年),『悪夢の食卓』(KADOKAWA,2016年)等,著書多数。