内容説明
その船はどこから来て、どこへ向かうのか。もはや知る者は誰もいない。巨大な宇宙船の内部で、いまや人間たちは原始的な生活を営んでいた。かつて船を支配していたという巨人族、猛烈な勢いで繁茂する植物、奇怪な生物たち、そして“前部人”と呼ばれる未知の部族を恐れながら…。世界が宇宙船であることも、わずかに伝承に残っているのみだった。ある時、狩人のロイは司祭マラッパーから、この船を支配するために世界の“前部”へ向かおうと誘われる。だが、仲間たちと“死道”へ旅立ったロイを待っていたのは思いもよらない出来事の連続だった。そして、彼が旅路の果てに見たものは―。幻の傑作SF、待望の邦訳。
著者等紹介
オールディス,ブライアン[オールディス,ブライアン] [Aldiss,Brian]
1925年、英国ノーフォーク生まれ。作家、評論家。英国SF界を表する巨匠。ヒューゴー賞受賞作の『地球の長い午後』は日本でも人気の作品であり、歴代ベストSFにもランクインしている。『寄港地のない船』は、2008年に英国SF協会賞を受賞
中村融[ナカムラトオル]
1960年、愛知県生まれ。中央大学法学部卒。翻訳家、アンソロジスト。主に英米のSFや幻想文学の紹介に従事する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)