メイド・イン・トーキョー―墨田区モノづくり中小企業の未来

著者:関 満博【著】
出版社:新評論

商品説明

内容説明

製造業から伝統工芸まで103事業所訪問。創造的集積にモノづくりの未来を見る。



目次

墨田区産業経済の歴史と輪郭
モノづくりのオープンイノベーションに向かう―メイド・イン・トーキョー/墨田区工業の新たな展開
墨田区の機械・金属製品製造業
機械金属工業の基盤技術の集積
構造変化の中のファッション関連産業
大都市日用品製造業の展開―ガラス製品、印刷・紙製品、多様な製造業
伝統工芸、工房ショップ、商店街の行方
女性経営者がリードする中小企業
墨田区の地域産業政策の歩みと輪郭
墨田区とメイド・イン・トーキョーの未来
補論1 1988年/インナーシティにおける中小零細工場―墨田区機械金属鉱業の研究
補論2 1989年/すみだ中小企業センターの成果と課題
補論3 1994年/「すみだ」、独自の“東京製品”生む―
補論4 1997年/共同受注グループ「ラッシュすみだ」の取組み
補論5 2018年/アパレル産業の構造変化と墨田の中小企業―工場の激減の中の事業承継



著者等紹介

関満博[セキミツヒロ]
1948年富山県小矢部市生まれ。1976年成城大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。専修大学助教授、一橋大学大学院教授等を経て、一橋大学名誉教授。博士(経済学)。墨田区産業振興専門員、墨田区産業振興会議座長。受賞、1984年第9回中小企業研究奨励賞特賞。1994年第34回エコノミスト賞。1997年第19回サントリー学芸賞。1998年第14回大平政芳記念賞特別賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

45年にわたる交流を生かし製造業を中心に103事業所を訪問、「モノづくり」「中小企業」の未来への豊かな示唆を汲み取る。 東京都墨田区は、ピーク時の1970年には立地工場数が9703を数え、大田区、東大阪市と並んで日本を代表する工業集積地、中小企業のまちとして知られてきた。だが、高度成長期を過ぎた頃から急激に工場数を減少させ、現在その数は二一五四となっている。
 同区には明治初期から近代産業が移入され、皮革、メリヤス、紡績、ガラス、ゴム、合成樹脂産業などが拡がっていった。これらの産業製品は、やがて「メイド・イン・トーキョー」として全国に普及していく。墨田区は右の諸産業の発祥の地であり、「メイド・イン・トーキョー」の象徴ともいえるまちなのである。
 筆者が墨田区の中小企業と出会ったのは1973年。以来四五年の付き合いになる。この間、円高により対米輸出が消失した一九八五年以降、中国に向かう企業も増えたが、その多くは挫折して国内に戻り、やがて退出していった。
 一方、国内に踏みとどまり生き残った中小企業は独特なものを身に着けることになった。自社ブラントの形成、大都市東京で生まれる新たな要請への対応、付加価値の高いモノづくり、幅広いネットワークの構築、オープンイノベーションへの挑戦など、従来とは大きく異なる道を見出していった企業が多い。これら中小企業の歩みには、「新たなメイド・イン・トーキョー」の可能性が示されている。そしてそれは成熟化、人口減少、高齢化、グローバル化に直面する日本の地域産業・中小企業の今後にも重要な示唆を与えるものでもある。
 古希を迎えた筆者にとって、その示唆をまとめるには今が最後の機会かもしれないと考え、この一年、改めて100を超える中小企業を訪問した。いずれも新たな時代を意識し、生き生きと可能性を語ってくれた。モノづくり企業や工場の数は減少したとはいえ、成熟時代を先導する「新たなメイド・イン・トーキョー」の拠点としての内実はむしろ濃密になっている。生まれ変わりつつある墨田区の今を多くの方々に知っていただければと思う。(せき・みつひろ)

関 満博[セキミツヒロ]
著・文・その他




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