内容説明
二〇〇八年九月に発生したリーマン・ショックとそれに続く世界同時不況は、世界経済のみならず現代経済学にも強い衝撃を与えた。P・クルーグマン(二〇〇八年ノーベル経済学賞受賞)は二〇〇九年の講義で、「過去三〇年間のマクロ経済学の大部分は『良く言っても見事なまでに無益で、悪く言えば積極的に害をもたらした』」と率直に述べた。リーマン・ショックの四か月後に成立した米オバマ政権で国家経済会議委員長を務めたL・サマーズ(現ハーバード大学教授)は、現代マクロ経済学の主流が近年達成してきた膨大な成果は、「ホワイトハウスの危機対応政策において何の役割も果たさなかった」と述べた。現行のマクロ経済学は、何らかの見直しを迫られているのだろうか?
目次
世界同時不況で明らかになった現代マクロ経済学の限界
第1部 三つの重不況(世界同時不況:拡張的緊縮政策の結末;大恐慌:要因評価の変遷;日本の長期停滞:構造改革の結末)
第2部 メカニズム(増税から資金循環と予算制約へ;セイ法則と不況期資金余剰:資金循環とセイ法則の破れ;資金循環とワルラス法則:ワルラス法則と需要不足;マクロ循環制約とマクロ経済学の新たな方向)
重不況からの脱出:脱出手法の評価
著者等紹介
向井文雄[ムカイフミオ]
1951年富山県生まれ。東北大学理学部卒。財団法人北陸経済研究所情報開発部長兼地域開発調査部部長、富山国際大学非常勤講師、富山県知事政策室参事、同県職員研修所長等を経て、現在富山県民ボランティア総合支援センター専務理事、富山県立大学非常勤講師。地方財政学会、計画行政学会、経済地理学会他会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)