内容説明
なぜか日本のマンションは「30年」という欧米の3分の1にも満たない短い期間で壊され、新築されている。現在、築後30年を過ぎて「建て替え」の問題に直面している分譲マンションは27万戸。それが10年後には100万戸にまで膨れあがるという。これらのマンションの「建て替え」を推進させるため、大手不動産会社や建設会社の強い圧力を受けた国が成立させた「マンション建て替え円滑化法」が、02年12月から施行されている。老朽化したマンションはどんどん壊して建て替える。際限なきスクラップ&ビルドの大波が日本を覆いはじめた。だが当事者の住民たちは出口のない難題に苦しめられていた…。
目次
プロローグ 奇妙な法改正―建て替えラッシュへの地ならし
第1章 さまよう老朽団地―出口のない建て替え問題
第2章 誰が「三〇年寿命」にするのか―住宅無計画列島の系譜
第3章 被災マンション建て替え問題―神戸震災解体の真相
第4章 住み慣れた住居とともに―建築再生への新たな試み
第5章 いい建物を永く使う―ヨーロッパの再生モデルに学ぶ
著者等紹介
山岡淳一郎[ヤマオカジュンイチロウ]
1959年、愛媛県生まれ。ノンフィクション作家。住宅、医療、企業活動、海外紀行、スポーツなど幅広く執筆中