内容説明
『万葉集』はいかにして「国書」の王座についたか?“天皇から庶民まで”が参加し、“日本民族の原郷”といわれる『万葉集』。しかしこの歌集が「古典」となったのは、国民国家の成立を補強するためであった。新元号で脚光をあびる「万葉集」について画期的事実を解明した書。緊急重版。
目次
第1章 天皇から庶民まで―『万葉集』の国民歌集化をめぐる問題系(国民歌集の構造;子規の再発見という通念;金属活字版『万葉集』の出現;一八九〇年という画期;国民の全一性の表象)
第2章 千年と百年―和歌の詩歌化と国民化(国民歌集の前史;『新体詩抄』と和歌改良論;国文学と国民文学;子規のスタンス;国民歌集と国民教育)
第3章 民族の原郷―国民歌集の刷新と普及(民謡の発明;万葉びとの創成;異端者伊藤左千夫;教育者の聖典―島木赤彦の万葉集1;伝統の発達―島木赤彦の万葉集2)
著者等紹介
品田悦一[シナダヨシカズ]
1959年群馬県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(国語国文学)単位取得修了。上代日本文学専攻。現在、東京大学教授(大学院総合文化研究科)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)