内容説明
日本の学校で学ぶ海外ルーツの子どものうち、一万人以上が何の支援もない状態にある。地域ボランティアなどによる日本語教室の活動にも限界が迫るなかで、日本語を母語としない子どもたちへの支援活動を続けてきた経験に基づいて現場の実態と提言をまとめる。ともに生きる未来をめざして!
目次
第1章 海外ルーツの子どもを取り巻く環境(共生社会に近づくために―あらためて考える「海外ルーツの子ども」という呼び方;不十分な受け入れ体制―自治体間格差と担い手不足 ほか)
第2章 海外ルーツの子どもへの日本語教育の必要性と課題(日本語指導を必要とする子どもたちはいま;高校進学率七〇%という現実 ほか)
第3章 「受け入れ体制の整備」から「共生社会の基盤づくり」へ(言葉を学ぶ権利(言語権)の保障に向けて
「外国人保護者は教育に無関心」は本当か)
第4章 海外ルーツの子どもの課題解決に求められる多面的支援とは(外国人の子どもの教育機会保障に必要なこととは;海外ルーツの子どもたちの貧困 ほか)
第5章 多様な人々がともに生きる社会へ(子どもや外国人にもわかりやすく―NHKの津波警報で注目の「やさしい日本語」とは;ことばのバリアフリー ほか)
出版社内容情報
日本で生活している海外ルーツの子ども10万人のうち、1万人は何の支援もない無支援状態だ。こうした無支援状態の子どもたちや、自治体による支援制度の対象にならない子どもたちは、主に地域ボランティアが運営する日本語教室などでサポートを受けてきた。支援者らは日本語を教えるだけでなく、外国人保護者に学校の「おたより」をわかりやすく説明したり、困りごとの相談に乗るなど、外国人と地域・情報とをつなぐ「仲介役」を担ってきた。
しかし、新型コロナウイルスのためにその活動が休止を余儀なくされるなか、情報弱者になりやすい外国人や海外ルーツの子どもたちの支援が空白になりつつあり、地域社会にも大きな影響を与えている。
平時から、義務教育の対象外であることや、支援体制の整備の遅れなどから教育機会へのアクセスが限定的になりやすい海外ルーツの子どもたちにとって、現在の事態は教育機会の一層の断絶につながりやすく、リスクが高い状況にある。
日本語を母語にしない子どもたちへの支援活動を続けている著者が、支援現場の実態と提言をまとめる。ともに生きる未来をめざして!