内容説明
兵隊になった若き学者が描いた絵てがみは、反戦感情のレリーフだった。九州大学教養学部で長く研究の道を歩んだ檜垣元吉(1906〜1988年)が、旧帝国陸軍兵士としての軍務下で子どもたちに宛てた絵てがみ。一日の訓練が終わり兵舎内で戦友たちと車座になり、彼らと故郷の風俗や自然などを語り合う時、一見楽しげに綴る底に、学者の本分と、心に秘めた反戦の思いが伝わる。貴重な時代の証言となった通信160枚を公開。オールカラー。
目次
子供たちへ―昭和一七年二月二八日
兵舎便り―昭和十七年三月一日
春がきました―昭和一七年三月二日
しらみ取り―昭和一七年三月一〇日
帰りの汽車―昭和一七年□月一四日
おむかいさんへの礼状―手持ち帰り
飯盒の炊き方―昭和一七年三月一六日
フェリー乗船―昭和一七年三月二四日
物分け合ふ兵隊さん―昭和一七年三月二四日
よくばりと天罰―昭和一七年三月二四日〔ほか〕
著者等紹介
檜垣御楯[ヒガキミタテ]
1942年、昭和17年福岡市生まれ。東京外国語大学英米語学科卒業。会社勤務の後久留米大学附属中学・高等学校英語科教諭として勤務。定年後、福岡大学附属中学高等学校、久留米信愛女学院中学高等学校に勤務した後作家として独立。今日に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)