内容説明
「おや、また始まっている」―米の施しを求める貧窮組にそう呟き、眉をひそめた柳橋芸者・お万を、物騒な一団は見逃さなかった。なぶり者にされそうなお万。が突然、たくましい男に担がれ助け出される。天狗を名乗るこの男、実は町方に追われる青井鬼太郎という浪人であった。鬼太郎はかつて、冤罪で捕われ斬殺されかかったが、薩摩の助太刀を得て志士として江戸に戻ったのである。ところが因縁の与力・佐川剛造との対決を控え、自らの過去がお万の境遇に関わっていることを知る。許されざる敵を前に、驚きの行動をとる鬼太郎。果たしてお万との恋の行方、そして明日の国を想う志はいかなる結末を招くのか…!?国民的人気作家の名作シリーズ「山手樹一郎傑作選」、第二十八弾!!
著者等紹介
山手樹一郎[ヤマテキイチロウ]
1899年、栃木県生まれ。編集者を経て文筆生活に入る。1940年より新聞連載を始め翌年刊行の『桃太郎侍』が大人気を博し、時代小説家としての地位を不動のものとした。その後も読者を楽しませることに徹した明朗闊達、爽快な作風で国民的人気作家として活躍し、映像化作品も多い。1977年勲三等瑞宝章を受章、1978年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
恋斬り 恩情剣