内容説明
大伝馬塩町の長屋を五人の賊が襲ったのは、春の嵐がおさまった暁方のことだった。浪人の父親とふたりで住まう娘のお江依は難を逃れ、八丁堀同心・雁木の屋敷に助けを求める。雁木親子は長屋に駆けつけるが、部屋の中は血だらけ。そして、賊もお江依の父親もひとの姿はかき消えていた…。行方知れずとなった父親を案ずるお江依は、息子の雁木百合郎に岡っ引きの見習いをさせてくれと申し出る。定町廻りの務めに付き従いながら、父の行方を探ろうというのだ。男の形をして江依太と名を変えたお江依は、百合郎の追う役人殺しの探索を手伝うことになるのだが…。美貌の江依太と厳つい百合郎、奇妙な二人組が凶悪犯を追う!
著者等紹介
藤堂房良[トウドウフサヨシ]
宮崎県西都市生まれ。劇画家から、その原作者時代を経て時代小説作家に。九州さが大衆文学賞「笹沢左保賞」受賞、立川文学賞佳作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)