内容説明
旗本の御家に生まれ、吉原の宴を心ゆくまで楽しんでいた峰近香四郎―。剣の修練は怠らずにいたが、なにぶん四男坊の冷飯くいで、毎日を気楽に過ごしていた。そんな若侍に青天の霹靂が。当主の兄が逝去、いきなり後嗣となり、お目見得の身分となったのであった。しかも、筆頭老中・阿部正弘の呼び出しを受け、長崎奉行支配の調役を拝命。妖刀「村正」とともに、直下の密命まで下されたのである。歩み出した道は出世へと続くのか。抜け荷商人を調べるために芝居町に潜入した香四郎だったが、そこで起こった心中事件をきっかけに、当代の人気奉行・遠山景元と出会う。そして、さらなる驚くべき拝命が…!!風を斬り裂くような「村正」を手に、江戸っ子侍が世出街道を駆け上る!
著者等紹介
早瀬詠一郎[ハヤセエイイチロウ]
東京生まれ。学習院大卒。放送作家・脚本家として芸術祭、教育映画祭などの優秀賞を受賞。2000年、『萩大老』(新潮社)で作家デビュー。一方で邦楽の家に生まれ、「岡本紋弥」の名で古典浄瑠璃“新内”の継承者として全国を口演する伝統芸能者で、番組の語り手ナレーターでも活躍。時代小説を中心に上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)