内容説明
「キレる」子どもたちは、その行為の外見とは裏腹に、決して周囲を傷つけたくて行っているのではなく、彼らもまた、自らの衝動がコントロールできないことに深く悩んでいる。本書は、そうした悩みを抱えた子どもに対して、社会的問題解決スキルを養うことと感情をうまく調節できるようになることに焦点を当てた認知行動療法を実施するためのマニュアルである。イントログタクションで、子どもの破壊的行動をアセスメントするための指針、認知行動療法の基礎理論と研究のエビデンスを示した後に、10の治療セッションに沿って、感情調節、問題解決、ソーシャルスキルを学んでいけるよう構成されている。また、各セッションを進める際に役立つ40以上のワークシートと質問票、さらに臨床家がプログラムの確実な施行をモニタリングするための「治療の厳密性のチエックリスト」を収載している。本書で示される認知行動療法を活用したアプローチは、子どものメンタルヘルスに関わる精神科医、心理士、ソーシャルワーカー、また、学校教育や少年司法プログラムに携わる専門職にも役立つであろう。
目次
モジュール1 怒りのマネジメント(認知行動療法の紹介と怒りについての教育;自己教示とリラクゼーション;感情調節)
モジュール2 問題解決(問題の同定と特質;解決を生み出す;結果を評価する)
モジュール3 ソーシャル・スキル(仲間の怒りがわきおこった時のために対処の型を作る;アサーション・トレーニング;大人との葛藤を解決するためのソーシャル・スキル;振り返りと結論)
親セッション
付録
著者等紹介
スコドルスキー,デニス・G.[スコドルスキー,デニスG.] [Sukhodolsky,Denis G.]
Yale University Child Study CenterのAssistant Professorで、主たる仕事は、破壊的行動障害、不安、トゥレット症、自閉スペクトラム症を持つ子どもたちの、認知行動療法の効果とその機序について解明することである。これまで、60を超える、主著または共著での論文や書籍を執筆し、National Institute of Mental Health、Tourette Syndrome Association、Obsessive‐Compulsive Foundtionから表彰を受けている
スケイヒル,ローレンス[スケイヒル,ローレンス] [Scahill,Lawrence]
Nursing and Child Psychiatry at Yale UniversityのProfessorであり、また、Research Unit on Pediatric Psychopharmacology(RUPP)Autism Network at the Child Study CenterのDirectorをつとめている。Tourette Syndrome AssociationのMedical Advisory Boardや複数の学術誌の編集委員もつとめている
大野裕[オオノユタカ]
(独)国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長。(一社)認知行動療法研修開発センター理事長。1950年、愛媛県生まれ。1978年、慶應義塾大学医学部卒業と同時に、同大学の精神神経学教室に入室。その後、コーネル大学医学部、ペンシルバニア大学医学部への留学を経て、慶應義塾大学教授(保健管理センター)を務めた後、2011年6月より現職。アメリカ精神医学会のdistinguished fellowであり、DSM‐4作成実行委員会の国際委員会およびパーソナリティ障害委員会の委員を務めた
坂戸美和子[サカドミワコ]
新潟県中央福祉相談センター(中央児童相談所・女性福祉相談所・知的障害者更生相談所・身体障害者更生相談所)勤務。精神科・児童精神科医。日本精神神経学会専門医。新潟大学医学部卒。熊本大学医学部大学院に社会人大学院生として在籍中。2006年より現職
田村法子[タムラノリコ]
公益社団法人日本精神神経学会精神医療・精神医学情報センター勤務。臨床心理士、社会福祉士。慶應義塾大学文学部卒業。大正大学大学院人間学研究科、慶應義塾大学大学院医学研究科修了。精神科クリニック、国立精神神経医療研究センター認知行動療法センター勤務を経て、2014年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)