内容説明
戦後間もなくの頃、ふとしたことから私が水産資源の研究に携わることになってから50年余が経過した。その間に扱った魚種は、イワシ類、サンマ、ブリ、サケ・マスなどの浮魚から、タイ類やグチ類などの底魚、さらにはオットセイ、クジラにまで及んでいる。その内容も、漁獲量の解析、標識放流調査から、資源の動態論、管理論にまで及ぶ。これらの研究の紹介だけでも、水産資源学の入門書が書けるだろう。そう考えながら、物語を読むような気持ちで読める水産資源学の本を書いてみたいと思ったのである。理屈っぽい学問を物語り風に書くなど容易な業ではないが、その出来、不出来はともかくとして、自分の仕事を振り返りながら、一つの記録としてまとめてみたのがこの本である。
目次
1 日本の漁獲量、世界の漁獲量―いわしが主導
2 資源と漁業の関係の理論―乱獲ってなに?
3 東シナ海・黄海の底魚―獲り過ぎ論
4 サンマ―動きまわる魚群
5 マイワシ―卵の量で資源を測る
6 サケ・マス―親と子の量的関係
7 ブリとモジャコ―標識放流で何がわかる
8 鯨資源の管理方式―資源管理はむずかしくない
終章 資源研究のこれから―データとモデルは卵と鶏