内容説明
“ジェントリフィケーション”という言葉が生まれたのは1960年代のロンドンだった―。再開発による「立ち退き」、地域コミュニティが失われていくという現象は、今なお世界中で進行している。移民の排除や差別、グローバルな不動産投資と家賃高騰、犯罪抑止の名のもとに行われる過剰警備などの現代的課題をさぐる注目の一冊。
目次
ジェントリフィケーションとは何か
第1部 ジェントリフィケーションの“発見”(「ジェントリフィケーション」の名づけ親 ルース・グラス;英国の住宅はどう変わったか;地域コミュニティの重要性;労働者の賃貸住宅をめぐる新たな問題;移民労働者の増加と「人種問題」;スケープゴート化された移民たち;現代から見るグラスの意義と再評価)
第2部 現代のジェントリフィケーションを考える(カナダ・バンクーバーの住宅不足と家賃高騰;バンクーバーの低所得地域ダウンタウン・イーストサイド;DTESにおけるジェントリフィケーションへの対抗;チャイナタウンでのジェントリフィケーションと移民の「歴史」;縮滅する低所得地域とホームレスの排除;福祉化する横浜・寿町の現在)
ジェントリフィケーションを通して社会をとらえる
著者等紹介
山本薫子[ヤマモトカホルコ]
東京都立大学都市環境学部准教授。博士(社会学)。専門は都市社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
<ジェントリフィケーション>がもたらす問題とは?
再開発による「立ち退き」、グローバルな不動産投資と家賃高騰……。
<ジェントリフィケーション>という言葉を生みだしたのは、1960年代の社会学者ルース・グラスだった。
彼女が都市ロンドンで<発見>した現象は、現代の都市問題を予見していた……。
地域コミュニティが脅かされつつある現代都市の課題との共通点をさぐる注目の書。
――ロンドンでは、空間をめぐる競争がますます激しくなっている。さまざまな要素がこの競争をさらに強化している。(……それらは)予測も制御もされなければ手に負えなくなり、地価(上昇)のスパイラルにつながる。そして、まさにこれが起きてしまったのである。
(ルース・グラス『ロンドン――変化の諸相』より)
――ジェントリフィケーション。ダウンタウン・イーストサイドは大きな変容の最中にある。過去10年の間に中流層、上流層の階級の住民たちがこの低所得地域に移り住むようになった。新たな住民たちがコミュニテイ再生の手助けをする一方で、そのことは周縁化された住民たちを追い出すことでもある。
(バンクーバーのストリート・ペーパーMegaphoneより)