徳川期の銭貨流通―貨幣経済を生きた人々

著者:藤井 典子【著】
出版社:慶應義塾大学出版会

商品説明

内容説明

庶民の優れた金銭感覚の源泉を探る。江戸時代、勘定奉行所役人などの武士や商人のみならず、職人、労務者、農民に至るまで、ほとんどの人々がお金の計算とやりとりをこなして暮していた。本書はこれまで手薄だった東日本圏の史料を渉猟し、旅日記や庄屋の大福帳など、その時代に生きた人々の息遣いが聞こえる一次史料から生活実態にアプローチした、近世貨幣流通史に一石を投じる労作。



目次

第1章 徳川期の貨幣制度と銭貨
第2章 田沼期の銭貨流通と金銭相場
第3章 銭座運営体制変更にみる銭貨の鋳造・流通管理
第4章 田沼期水戸鋳銭座の経営―江戸市場との関係を中心に
第5章 年貢貢納にみる銭貨の使われ方―武蔵国児玉郡傍示堂村の事例
第6章 幕末期の銭貨流通
第7章 明治期初等教育史料にみる「貨幣」の学び
終章 徳川期銭貨とともに「貨幣経済を生きた人々」



著者等紹介

藤井典子[フジイノリコ]
慶應義塾大学文学部古文書室研究員、早稲田大学教育・総合科学学術院非常勤講師、早稲田大学政治経済学術院・現代政治経済研究所特別研究所員、聖心女子大学非常勤講師。1959年生まれ。83年、東京大学法学部卒業、日本銀行入行。調査統計局、広島支店、業務局などを経て金融研究所貨幣博物館およびアーカイブ勤務(1995年7月〜2018年3月)。同行在職中に慶應義塾大学文学部、同大学大学院文学研究科および同大学大学院経済学研究科において日本史演習・日本経済史演習等を科目履修。博士(史学、慶應義塾大学、2022年度)。2018年4月〜2024年3月慶應義塾大学文学部非常勤講師などを経て現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

庶民の優れた金銭感覚の源泉(ルーツ)を探る

江戸時代、勘定奉行所役人などの武士や商人のみならず、職人、労務者、農民に至るまで、ほとんどの人々がお金の計算とやりとりをこなして暮していた。本書はこれまで手薄だった東日本圏の史料を渉猟し、旅日記や庄屋の大福帳など、その時代に生きた人々の息遣いが聞こえる一次史料から生活実態にアプローチした、近世貨幣流通史に一石を投じる労作。

・ 徳川期の銭貨流通の実態はどのようなものだったのか。本書は貨幣システムの制度面からではなく、人々の暮らしと密接不可分に結びついていた流通実態から日常生活を炙り出す。
・ 貨幣経済が進展したのは「天下の台所」上方を中心とする関西圏だけではなかった! 本書は関東での銭座経営の実態と人々の暮らしとの関わりを、村の年貢請取帳や街道筋の宿帳、銭座で働く職人の記録などの一次史料から明らかにする。
・ 小判や丁銀、一分銀などは近代(明治維新後)に通用停止となったが、銅銭などの小銭は流通し続け、明治以降にもかなりの間、現役通貨として使用されていた。明治の新政府に替わった後もその役割を保ち続けていた銭貨の歴史を、明治初期にまで拡張して叙述する。
・ 銭貨を製造した職人の働きや実物銭貨の使われ方は、公の記録としてはほとんど残されていない。東日本圏に分析の焦点を当て、庶民はどのような小銭をどう使っていたのかなど、その実態を地道に繙いていく。近世日本貨幣史に新しい視点をもたらす一冊。




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