円の実力―為替変動と日本企業の通貨戦略

著者:佐藤 清隆【著】
出版社:慶應義塾大学出版会

商品説明

内容説明

「為替」の壁を乗り越えられるか。2022年からの歴史的な円安進行によって、円の実質実効為替レートは1970年代前半と同等の水準にまで低下したといわれる。果たして円はどれほどパワーを失っているのか。かつて最強の貿易立国と謳われた栄光は取り戻せるか。大幅な為替変動に直面する日本企業にとって、円建て貿易の促進は処方箋となり得るのか。最新の企業調査に基づく著者オリジナルの経済分析によって、今日のわが国と円の「真の姿」をわかりやすく説明。



目次

序章 日本国通貨「円」と向き合う
1章 悪い円安と貿易赤字
2章 なぜ日本の貿易収支は改善しないのか
3章 円建て貿易はなぜ進まないのか
4章 日本企業は為替の壁を乗り越えたのか
5章 国際生産ネットワークと日系海外現地法人の建値通貨選択―アジア現地通貨建て取引は拡大するのか
終章 円の実力と日本企業の通貨戦略の課題



著者等紹介

佐藤清隆[サトウキヨタカ]
1968年長崎県生まれ。91年、横浜国立大学経済学部卒業。98年、東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。2001年、博士(経済学)取得(東京大学)。(財)国際東アジア研究センター研究員、横浜国立大学経済学部助教授・准教授・教授を経て、2013年より横浜国立大学国際社会科学研究院教授、2023年4月より国際社会科学研究院長。主な業績:Ito,Takatoshi,Satoshi Koibuchi,Kiyotaka Sato and Junko Shimizu(2018〕Managing Currency Risk: How Japanese Firms Choose Invoicing Currency, Cheltenham, UK: Edward Elgar.(2019年度・第62回日経・経済図書文化賞を受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

円安によって円の実力は低下したのか?
日本企業の戦略的な通貨選択と為替リスクとは?
ドルからアジア現地通貨へ、日本企業の新たな建値通貨選択は?

2022年の急速な円安進行によって「円の実力が低下した」とたびたび指摘される。円の実質実効為替レートが50年前(1970年代前半)とほぼ同水準にまで減価したことが理由だが、果たして円の実力は本当に低下したのか? そもそも円の実力はどのようにして測るべきなのか?

円安が進んでも日本の貿易収支は改善せず、近年ではむしろ貿易赤字が続いている。なぜ円安によって日本の貿易収支は改善しないのか?

過去50年以上にわたる大幅な為替レートの変動に対して、日本企業は積極的な海外進出と、アジアを中心とする生産・販売ネットワークの構築で対応してきた。この生産・販売ネットワーク下で日本企業はどのような通貨戦略によって為替変動リスクに対処してきたのか?

円建て貿易が伸びず、ドル建て貿易が中心と言われてきた日本の貿易建値通貨選択が、アジアで大きく変わりつつある。アジア現地通貨建て取引の拡大という新たな変化をデータによって明らかにする。

過去17年にわたって日本企業へのインタビュー調査とアンケート調査のプロジェクトに関わってきた著者が、これまで構築した独自データベースに基づく研究成果を踏まえて、上記の課題を分析・解説する。




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