商品説明内容説明
日本経済が「収縮」に向かうなか、格差と貧困、人口減少と地方経済の衰退、社会保障の限界と財政運営の困難など、喫緊の政策課題が表面化している。緻密なデータ・歴史分析ならびに国際比較に基づいた14本の論考により、日本の新たな政策課題を提示する。
目次
第1部 衰退する日本経済における格差と公共政策(世帯主年齢と本人年齢による所得格差の寄与度分解―格差拡大は人口高齢化によるものか?;変わりゆく持家社会・日本と家計―居住形態別貧困率と住宅費負担率の推計;「平成の大合併」における市町村合併要因の分析;社会保険制度における規制緩和の危険性―介護保険制度における混合介護の議論を中心に;デフレーションの再検討―公的固定資本形成と政府最終消費支出を分離したVARモデルによる分析;市町村国民健康保険の保険料収納率に関する分析;資源利用における行財政の役割と過少利用の影響―温泉資源を事例に)
第2部 グローバル経済下の金融と財政(新常態における中国の政府間財政関係;「オランダモデル」形成期の財政・社会保障改革―ルベルス政権とコック政権の政策連続性に着目して;デンマークの所得税制と児童手当―負担の公平性と課税方式の変化に着目して;アメリカにおける産業構造の変化と法人税向け租税支出の変遷―2000年代以降を中心に;金融自由化、金融革新と金融不安定性―「制度の経済学」によるミンスキー理論の深化の可能性;ブレトン=ウッズ体制期における英米の通貨管理と財政―国際金融制度の政治経済学;「制度」の政治経済学に関する一考察―財政史的考察方法をその出発点にして)
著者等紹介
四方理人[シカタマサト]
関西学院大学総合政策学部准教授。1978年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。専門分野:社会政策、労働経済
宮崎雅人[ミヤザキマサト]
埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授。1978年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。専門分野:財政学、地方財政論
田中聡一郎[タナカソウイチロウ]
関東学院大学経済学部講師。1979年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。修士(経済学)。専門分野:社会保障論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
緻密なデータ・歴史分析ならびに国際比較に基づいた14本の論考により、日本の新たな政策課題を提示する。▼日本の新たな政策課題を提示
日本経済が「収縮」に向かうなか、格差と貧困、人口減少と地方経済の衰退、社会保障の限界と財政運営の困難など、喫緊の政策課題が表面化している。緻密なデータ・歴史分析ならびに国際比較に基づいた14本の論考により、日本の新たな政策課題を提示する。
はしがき
第1部 衰退する日本経済における格差と公共政策
第1章 世帯主年齢と本人年齢による所得格差の寄与度分解
――格差拡大は人口高齢化によるものか?:四方理人
はじめに
第1節 先行研究
第2節 使用データと分析方法
1 使用データ
2 所得格差の寄与度分解の方法
第3節 年齢別ジニ係数と年齢構成の変化
1 年齢内格差の推移
2 年齢構成の変化
3 年齢間相対所得の変化
第4節 所得格差の寄与度分解
おわりに
第2章 変わりゆく持家社会・日本と家計
――居住形態別貧困率と住宅費負担率の推計:田中聡一郎
はじめに
第1節 日本の住宅システム――住宅所有と社会政策の観点から
1 変わりゆく持家社会・日本
2 高齢者の居住形態と年金の関係
第2節 住宅費負担の現状
1 定義
2 推計結果
第3節 居住形態別貧困率
1 定義
2 推計結果
3 低所得高齢者の住宅問題
むすびに――ポスト持家社会の住宅保障に向けて
第3章 「平成の大合併」における市町村合併要因の分析:宮?雅人
はじめに
第1節 分析手法
第2節 推定結果
第3節 一般財源の動向
おわりに
第4章 社会保険制度における規制緩和の危険性
――介護保険制度における混合介護の議論を中心に:結城康博
はじめに
第1節 医療保険制度における保険内・外サービスの議論
1 混合診療における論争分析
2 例外で認められてきた保険外サービス
3 混合診療禁止の最高裁判決
第2節 介護保険制度における「混合介護」の実態
1 「混合介護」は条件付きで認められる
2 上乗せ・横出しサービスは公的制度
3 訪問介護における混合介護
4 サービス付き高齢者住宅
5 通所介護(デイ・サービス)
第3節 介護保険制度の変遷――2006年以降
1 措置から介護保険制度へ
2 「市場」原理導入の問題
3 未届け有料老人ホーム火災から学ぶ
第4節 混合介護の弾力化のねらい
1 介護業界の新たな財源
2 介護報酬マイナス改定の影響
3 混合介護へ期待する介護保険事業者
第5節 混合介護によって揺らぐ公平性
1 格差が生じる社会保険制度
2 無視できない認知症高齢者
3 契約自由の補完
4 競争原理のデメリット
5 無駄を生む危険
第6節 公平な社会保険制度の維持
1 潜在能力(capability)というキーワード
2 混合介護の弾力化は供給側が主導となる
3 準市場と純市場
4 格差是正について
おわりに
第5章 デフレーションの再検討
――公的固定資本形成と政府最終消費支出を分離したVARモデルによる分析:佐藤一光
はじめに
第1節 デフレーションを巡る議論
第2節 財政構造改革と社会保障費の抑制
第3節 VARモデルによる因果関係の推論
おわりに
第6章 市町村国民健康保険の保険料収納率に関する分析:大津 唯
はじめに
第1節 制度的背景
1 日本の公的医療保険制度の体系と市町村国民健康保険の位置づけ
2 市町村国民健康保険の保険料収納率の長期推移
3 保険料滞納問題への行政の対応
第2節 先行研究
第3節 分析の枠組み
1 分析に用いるデータ
2 推定モデル
3 分析に用いる変数と仮説
第4節 分析結果
おわりに
第7章 資源利用における行財政の役割と過少利用の影響
――温泉資源を事例に:高柳友彦
はじめに
第1節 熱海温泉における市営温泉事業の展開
1 町営温泉事業の成立と意義
2 高度成長期の市営温泉事業
第2節 高度成長期以降の熱海温泉
1 1970年代以降の市営温泉事業
2 温泉事業の見直し検討委員会の発足
3 その後の温泉事業と抱える問題
おわりに
第2部 グローバル経済下の金融と財政
第8章 新常態における中国の政府間財政関係:徐 一睿
はじめに
第1節 中国の政府間財政関係の回顧
第2節 政府間財政関係の現状と制度的特徴
第3節 政府間財政移転による地域の再分配効果
おわりに
第9章 「オランダモデル」形成期の財政・社会保障改革
――ルベルス政権とコック政権の政策連続性に着目して:島村玲雄
はじめに
第1節 「オランダ病」からの回復
1 ワセナール合意と経済回復
2 財政収支の推移
第2節 ルベルス政権の財政改革
1 ルベルス政権の歳出削減策
2 第1次・第2次ルベルス政権下の社会保障改革
3 中道左派の第3次ルベルス政権
第3節 コックの「第三の道」
1 コック政権の就労不能保険改革
2 コック政権の積極的労働市場政策
おわりに
第10章 デンマークの所得税制と児童手当
――負担の公平性と課税方式の変化に着目して:倉地真太郎
はじめに
第1節 デンマークの所得税制と児童手当の基本的構造
1 デンマークの所得税制度の構造
2 デンマークの児童手当の基本的構造
第2節 1970年代までの制度改革
――夫婦合算課税方式から部分的な個人単位課税方式へ
第3節 1980?1986年の制度改革――1983年移転的基礎控除の導入
第4節 1987年税制改革――二元的所得税と児童手当の普遍主義化
1 二元的所得税の弱点と児童手当による補完
2 税制改革の効果
おわりに
第11章 アメリカにおける産業構造の変化と法人税向け租税支出の変遷
――2000年代以降を中心に:吉弘憲介
はじめに
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