内容説明
色素細胞を研究する各分野について、基礎から高度で最先端の内容までをわかりやすくまとめた。2001年に初版が刊行されてから14年の月日が流れたが、初版の内容を尊重して踏襲しつつも、その間に著しく発展した領域を追加し、日本色素細胞学会の中核メンバーと新進気鋭の色素研究者が、全21章のなかで色素細胞の基礎から臨床までを、豊富な文献とともに解説した。
目次
脊椎動物における色素細胞の発生―神経堤からメラノサイトが出現するメカニズム
メラノサイトの発生過程
色素幹細胞
メラノサイトの増殖・分化に働く外的要因
メラノソームの形成とケラチノサイトへの輸送
メラニン生合成を規定する鍵酵素チロシナーゼと関連タンパク質
ネズミの毛色発現に関与する遺伝子
色素細胞の分化を制御する転写因子MITF―多様な構造と機能
色素形成にかかわる細胞外シグナルおよび細胞内シグナル経路
色素型転換の分子機構―体表の模様はどのようにつくられるか〔ほか〕
著者等紹介
伊藤祥輔[イトウショウスケ]
1945年生まれ。1967年大阪大学理学部化学科卒業。1972年名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了。1985年藤田保健衛生大学衛生学部(現 医療科学部)教授。2010年より名誉教授として研究活動を継続。専門はメラニンの化学。メラニンに関する総説や原著論文多数
柴原茂樹[シバハラシゲキ]
1950年生まれ。1975年東北大学医学部卒業、1979年東北大学大学院医学研究科博士課程修了。米国国立心肺血液研究所、京都大学医学部、フリードリッヒ・ミーシャ研究所(バーゼル)を経て、1988年より東北大学医学部教授。専門は生体色素(メラニンとヘム)の代謝制御。メラニンとヘムに関する総説や原著論文多数
錦織千佳子[ニシゴリチカコ]
1955年生まれ。1980年神戸大学医学部卒業、1988年京都大学大学院医学研究科修了。京都大学助手、講師、助教授を経て、2003年より神戸大学大学院医学研究科教授。専門は皮膚科学。紫外線の生体への影響に関する総説やメラノーマに関する原著論文多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
色素細胞の基礎研究から臨床までを、豊富な文献とともにわかりやすく解説。初版を踏襲しつつも、最先端の研究成果を追加した改訂版。
▼色素細胞の基礎研究から臨床までを網羅。
色素細胞を研究する各分野について,基礎から高度で最先端の内容までわかりやすくまとめた。2001年に初版が刊行されてから14年の月日が流れたが,初版の内容を尊重して踏襲しつつも,その間に著しく発展した領域を追加し,日本色素細胞学会の中核メンバーと新進気鋭の色素研究者が,全21章のなかで色素細胞の基礎から臨床までを,豊富な文献とともに解説した。
第1章 脊椎動物における色素細胞の発生
−神経堤からメラノサイトが出現するメカニズム−
國貞隆弘・吉田尚弘・青木仁美・本橋 力
第2章 メラノサイトの発生過程
川上民裕
第3章 色素幹細胞
西村栄美
第4章 メラノサイトの増殖・分化に働く外的要因
廣部知久
第5章 メラノソームの形成とケラチノサイトへの輸送
石田森衛・大林典彦・福田光則
第6章 メラニン生合成を規定する鍵酵素チロシナーゼと関連タンパク質
塚本克彦・伊藤祥輔
第7章 ネズミの毛色発現に関与する遺伝子
庫本高志・山本博章
第8章 色素細胞の分化を制御する転写因子MITF −多様な構造と機能−
武田和久・大場浩史・柴原茂樹
第9章 色素形成にかかわる細胞外シグナルおよび細胞内シグナル経路
芋川玄爾・肥田時征・山下利春
第10章 色素型転換の分子機構 −体表の模様はどのようにつくられる
か−
小野裕剛
第11章 メラニンの構造とその機能
若松一雅・伊藤祥輔
第12章 変温脊椎動物の色素細胞 −多様な体色と体色変化の仕組み−
杉本雅純
第13章 魚類における色素形成の遺伝的背景とその意義
深町昌司
第14章 昆虫の色素合成と紋様形成
二橋美瑞子・二橋 亮
第15章 色素異常症の動物モデルとしての鳥類色素変種
秋山豊子
第16章 遺伝子異常から解明される先天性異常症
大磯直毅・鈴木民夫・深井和吉
第17章 皮膚以外に存在するメラノサイトの機能
矢嶋伊知朗・大神信孝・山本博章・加藤昌志
第18章 紫外線からの生体防御と色素細胞の存在意義
市橋正光・安藤秀哉
第19章 メラノサイトの機能制御と美白
船坂陽子・錦織千佳子
第20章 尋常性白斑の診断と治療
片山一朗・種村 篤
第21章 メラノサイトの増殖性病変としての色素細胞母斑とメラノーマ
高田 実・岡 昌宏・中川秀己
略語一覧
付録 マウスとヒトの毛色,皮膚色,網膜色素上皮の色素形成にかかわる
遺伝子座
庫本高志・山本博章
索引
執筆者一覧
【著者紹介】
伊藤 祥輔
1945年生まれ。1967年大阪大学理学部化学科卒業,1972年名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了。1985年藤田保健衛生大学衛生学部(現 医療科学部)教授。2010年より名誉教授として研究活動を継続。専門はメラニンの化学で,『The Pigmentary System』分担執筆など,メラニンに関する総説や原著論文多数。