内容説明
高野や四天王寺伝承、更には築島、〓丸伝承などを、街道論という斬新で確信に満ちた方法論が鮮やかに解きほぐす。「街道を往還する物語」という新しい視点に着目して、浄瑠璃、説経へと収斂するそれぞれの語り物の成立事情とその後の変貌再生の様相を、口承書承の両面から跡付ける。
目次
第1篇(街道の伝承―篠崎入道と樟葉道心;説経「苅萱」と高野伝承;「横笛」と高野伝承;「兵庫の築島」の成立;「しんとく丸」の成立基盤)
第2篇(街道を運ばれる語り物1―説経の場合;街道を運ばれる語り物2―浄瑠璃の場合;街道の牛若物語―MOA本『浄瑠璃御前物語』の語られ方;奥浄瑠璃『足立物語』―語り本文の時代認定;街道の浄瑠璃―左内と宮内)
第3篇(寛永期の浄瑠璃―「鎌田」の周辺;『すわのほんぢ兼家』と『かうかの三郎かね家』;操浄瑠璃の語り―口承と書承)
第4篇(説経正本「松浦さよ姫」の成立;草子本『あいご物語』をめぐって;「新田妻」異譚;万治寛文期の説教本文;説教「苅萱」の諸本関係)
第5篇(絵画と語り物―絵解きや名所案内など;〓丸・逆髪伝承―「〓丸宮縁起」をめぐって;〓丸宮と説教日暮)
著者等紹介
阪口弘之[サカグチヒロユキ]
1943年滋賀県生まれ。大阪市立大学・神戸女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)