内容説明
フランスの絶対王政期に新しい市場社会を描いた経済思想。欲求と希少性に基づく徹底した主観価値の体系を示していたグラスラン。発展的な商業社会の必要性を唱え、都市開発を成功させた手腕も持つ。経済学史におけるグラスランの存在感を際立たせる論考。
目次
第1章 グラスランの生涯
第2章 グラスランの発展的土地所有公益論―「ペテルブルグ論文」の再評価
第3章 チュルゴとグラスランの主観価値理論―チュルゴの価値概念の変化の要因
第4章 グラスランとボードーの価値論争―『書簡集』に見るフィジオクラシーへの熱狂と批判
第5章 水とダイヤモンドのパラドックス―フォルボネとグラスランの1767年における「到達度」
第6章 グラスランの累進的消費税論―消費の規範性と担税能力
第7章 グラスランの貿易論―穀物輸出をめぐるフィジオクラシー批判
著者等紹介
山本英子[ヤマモトエイコ]
東京生まれ。1983年3月、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業。2020年3月、早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)、専攻は経済学史。成蹊大学、明治学院大学、その他の大学で非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
経済学を学問として認識した18世紀後半のフランス絶対王政期の活発な議論の中に重要な論客として関わっていた経済学者グラスラン。先駆的な主観価値理論にもとづく新しい市場社会を描き、農業を中心とする形而上学的な国家思想を説くフィジオクラシーに対し、グランスランは主観価値理論、土地所有交易論、累進的消費税案をもって批判する一方で、フランス東部の都市ナントの大規模な開墾と都市開発をも成功させた。国内で初めてグラスランの経済思想を追究した一書。経済学史におけるグラスランの存在感を際立たせる。