内容説明
第2次世界大戦後70年を経た現在、資本主義経済は深刻な混迷の中にある。大戦後の資本主義は、米国の強大な軍事力を背景とした世界経済戦略を基礎に、「軍事と経済」の新しい関連を生み出した。また金本位制に代わるIMF体制の崩壊後、資本主義経済は変動相場(制)のもとで絶えざる変動・リスクに晒されるようになり、「実体経済と金融」の関連に大きな変化が生じた。大戦後資本主義を「新しい段階の資本主義」と規定する著者は、米国の世界経済戦略を軸に大戦後資本主義の変質と展開の理論的解明に挑む。
目次
第1部 米国の大戦後世界経済戦略と資本主義経済の再生(第2次世界大戦と資本主義の変質;大戦終了直後、資本主義の再生をめぐる政治的・軍事的状況 ほか)
第2部 大戦後資本主義経済の行詰り―経済停滞化、ベトナム戦争、IMF体制崩壊、変動相場(制)、スタグフレーション(米国の国際収支悪化と対策―ドル防衛策と「金プール制」;米国経済の停滞化、実体経済の行詰り ほか)
第3部 大戦後資本主義の「一大変質」―「新自由主義」政策への転換(「競争市場原理」と米国製造業の構造変化・衰退;金融の規制緩和・国際化と「実体経済から離れた投機的金融活動」 ほか)
第4部 冷戦勝利後の世界戦略と米国経済、金融大膨張、金融危機勃発―克服されない金融危機、終わりなき戦争(米国の冷戦勝利・中東介入・湾岸戦争;クリントン政権の役割と意義―経済建直し、産軍連繋強化、情報通信技術革新 ほか)
著者等紹介
井村喜代子[イムラキヨコ]
1930年金沢市に生まれる。慶應義塾大学名誉教授。経済学博士
北原勇[キタハライサム]
1931年東京に生まれる。慶應義塾大学名誉教授。経済学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)