カフカの日記―1910−1923 (新版)

著者:カフカ【著】/ブロート,マックス【編】/谷口 茂【訳】/頭木 弘樹【解説】
出版社:みすず書房

商品説明

内容説明

カフカの研ぎ澄まされた五感が捉えた日常、それを受けとめるカフカの心の世界。書くことへの思い、フェリーツェはじめ女性への苦悩、父との葛藤、不眠の苦しみ、ユダヤ人社会のこと、詳細な夢の描写、さまざまな創作スケッチ…そのすべてはカフカの文学に連なり、それ自体が文学になっている。新潮社版『決定版カフカ全集』(全12巻)の第7巻(1992)を底本に、日記文学の金字塔を、カフカ没後100年の2024年、新たに世におくる。



目次

日記(一九一〇年;一九一一年;一九一二年;一九一三年;一九一四年;一九一五年;一九一六年;一九一七年;一九一九年;一九二〇年;一九二一年;一九二二年;一九二三年)
旅日記(フリートラントとライヘンベルクへの旅(一九一一年一月〜二月)
ルガーノ‐パリ‐エルレンバッハへの旅(一九一一年八月〜九月)
ワイマル‐ユングボルンへの旅(一九一二年六月二八日〜七月二九日))



著者等紹介

カフカ[カフカ] [Kafka,Franz]
1883‐1924。小説家。オーストリア=ハンガリー帝国のプラハ(現在はチェコ)のユダヤ人の家庭に生まれる。法律を学んだのち労災保険局に勤めながら作品を執筆。著作は数編の長編小説と多数の短編、日記および恋人などに宛てた膨大な量の手紙から成る。生前に『変身』など数冊の作品が出版されたが、ごく限られた範囲で知られるのみだった。死後、中断された長編『審判』『城』『失踪者』をはじめとする遺稿が友人マックス・ブロートの編集により発表され、世界的な評価をうけた。今日では20世紀の文学を代表する作家と見なされている

ブロート,マックス[ブロート,マックス] [Brod,Max]
1884‐1968。カフカと同じオーストリア=ハンガリー帝国のプラハ(現在はチェコ)生まれのユダヤ人。作家・評論家・作曲家。カフカの遺稿の管理人として、自己の信念にもとづき遺稿を次々に公刊、1935年からは『カフカ全集』の編集に尽力した。1939年パレスチナに移住、生涯の最後までテルアビブで活動した

谷口茂[タニグチシゲル]
1933‐2019。ドイツ文学者・宗教学者・小説家。明治学院大学名誉教授

頭木弘樹[カシラギヒロキ]
文学紹介者。筑波大学卒。大学3年の20歳のときに難病になり、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

〈日記を読んで心を動かされる。これは今のぼくに、もはや少しの確信もないせいだろうか? あらゆるものがぼくには仮構であるように見える。他人のどんな言葉も、ぼくがたまたま見たどんな光景も、ぼくのなかのすべてのものを、忘れていたものやまったく無意味なものですら、別な方向へ転がしてしまう。ぼくは前にそうだったよりも確信がなく、ただ生命の力だけを感じている。そしてぼくは意味もなく空っぽだ。ぼくは本当に、夜、しかも山のなかで迷ってる羊か、もしくはその羊のあとを追いかける羊のようなものだ。こんなに見捨てられていながら、それを嘆き悲しむ力を持っていないのだ〉(1913年11月19日)

カフカの研ぎ澄まされた五感が捉えた日常、それを受けとめるカフカの心の世界。書くことへの思い、フェリーツェはじめ女性への苦悩、父との葛藤、不眠の苦しみ、ユダヤ人社会のこと、詳細な夢の描写、さまざまな創作スケッチ… そのすべてはカフカの文学に連なり、それ自体が文学になっている。
新潮社版『決定版カフカ全集』(全12巻)の第7巻(1992)を底本に、日記文学の金字塔を、カフカ没後100年の2024年、新たに世におくる。




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