内容説明
熱力学を理解するうえで、エントロピーほど悩ましい概念はないだろう。実体がとらえづらいがために、「無秩序」「広がり」「無知」などといったさまざまな定性的な解釈が与えられている。本書では、シャノンが提唱した情報測度の特殊な例としてエントロピーを解釈するという立場から、歴史的経緯やさまざまな事例を挙げながら、エントロピーの正体に迫る。
目次
第1章 はじめに:熱機関から、無秩序、情報の広がり、自由、…、まで(第二法則の巨視的定式化;エントロピーの巨視的定義 ほか)
第2章 エントロピーはしばらく忘れて、情報ゲームで遊んでみよう(20の質問(20‐Q)ゲームでウォーミングアップ
一様に分布した20の質問ゲームに対するシャノンの情報測度の定義 ほか)
第3章 古典理想気体のエントロピーをシャノンの情報測度から導く(理想気体における位置のSMI;粒子が区別できないことによる相互情報 ほか)
第4章 いくつかの例とその解釈(理想気体の膨張;2つの理想気体の混合を含む過程 ほか)
第5章 熱力学第二法則について(何が自発過程を引き起こすか?;何がエントロピーを増加させるか? ほか)
付録A
著者等紹介
小野嘉之[オノヨシユキ]
東邦大学名誉教授。理学博士。主な研究分野は物性理論、電子輸送理論(アンダーソン局在、量子ホール効果、ポリマー中のソリトンのダイナミクス等)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)