内容説明
ジョージア州エニグマは、行き止まりの町だ。牢には黒人の大男ウィラリーが囚われ、葬儀屋には彼が惨殺したメリーベルの遺体が安置されている。そんな町の誰もが、ゴスペルシンガーの帰還を待ち望んでいた。町出身の輝ける成功者。美しい容姿と天使の歌声を持つカリスマ。メリーベルの恋人。奇跡を行う者…。その彼が町に帰って来る。黒いキャデラックに乗って。アメリカ南部を舞台に、人の愚かしさと世界の混沌を、魂と臓腑をえぐる危険な筆致で描き出す衝撃の一書、邦訳なる。
著者等紹介
クルーズ,ハリー[クルーズ,ハリー] [Crews,Harry]
作家、エッセイスト。1935年、ジョージア州ベーコン郡の貧しい小作農家に生まれる。終生南部に住み、フロリダ大学で教鞭を取りながら執筆を続けた。フラナリー・オコナーに代表されるサザン・ゴシックの流れを汲みながら、その後のラフ・サウス(グリット・リット)と呼ばれる南部小説ジャンルの確立に多大な影響を与え、一部で熱狂的なファンをもつ。2012年死去
齋藤浩太[サイトウコウタ]
1974年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)