内容説明
『三笠』は突如としてこちらへ方向を転じ、円を描きながら逆のコースに転じて、われわれと同方向に向かって追航しだした。旗艦の航跡にのって進んでいたほかの敵艦も、順次に方向を転じ始めた。その陣形運動は、実に鮮やかな手際で、びっくりするくらい正確だった。ロシア水兵が見た日本海海戦。戦艦アリヨールに乗り組み、歴史的大戦に参加した作家による記録文学の名著。
目次
最初の打撃(敵艦隊の接近;艦隊目前で敵艦隊が針路を変更 ほか)
北二十三度東(傷ついた艦隊と指揮の混乱;戦闘力を失った「アリヨール」 ほか)
皇帝を支える支柱(駆逐艦「ベドーウイ」の艦長バラーノフ;ロジェストヴェンスキーの「ブイヌイ」移送と「スウォーロフ」の最期 ほか)
敗残の艦隊(病院船、特務船、駆逐艦などの運命;巡洋艦「ウラジミル・モノマフ」の鶏 ほか)
エピローグ
著者等紹介
ノビコフ・プリボイ,アレクセイ・シルイッチ[ノビコフプリボイ,アレクセイシルイッチ]
1877年〜1944年。1933年刊の『Цусима』で後に第一回スターリン賞受賞。海洋作家として多くの作品を残す
上脇進[ウエワキススム]
1899年〜1962年。鹿児島県出身。東京外語大学ロシア語科卒後、陸海軍通訳官、日魯漁業通訳、小樽ソ連領事館通訳、新京語学院講師等を歴任。戦後引き揚げて、ロシア文学の翻訳に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)