内容説明
覇権国家の条件はグローバルな中抜きシステムの構築にあり。身もフタもない歴史の真実。出アフリカから現代までに至るショバ代プラットフォーム史。
目次
プラットフォームをつくる権力者たち
第1部 文明の形成からイスラームの拡大まで(出アフリカからメソポタミアの覇権;地中海世界形成とギリシア人、ローマ人、とくにフェニキア人の役割;イスラーム世界の拡大)
第2部 中国の台頭と挑戦するヨーロッパ(中国文明の誕生から後漢まで;三国時代から唐代まで;宋から元へ;ヨーロッパの逆襲;商業情報の伝達と経済成長―ヨーロッパの特徴;オランダからイギリスへの覇権の移行)
第3部 ヨーロッパの支配から新冷戦へ(世界に組み入れられる明清の中国;世界に組み込まれるアメリカ;ヨーロッパの拡大とディアスポラの民―イエズス会とアルメニア人の役割;産業革命とコミッション・キャピタリズムの世界;アメリカの覇権から中国の覇権へ?)
ユーラシア覇権国家連合の兆候
著者等紹介
玉木俊明[タマキトシアキ]
京都産業大学経済学部教授。専門は近代ヨーロッパ経済史。1964年、大阪市生まれ。同志社大学大学院文学研究科(文化史学専攻)博士後期課程単位取得退学。博士(文学、大阪大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
何もしなくても「手数料」を得られるシステムを構築した国家が覇権を握る。出アフリカから現代までの「プラットフォーム」経済全史。
覇権国家とは、何もしなくても収入が得られる国である。
多くの国は、覇権国家が形成したシステムを使用しなければならない。
それは、いわば「ショバ代」であり、国際的な経済活動に参入するために国家はショバ代を払わなければならない。それが有史以来続いてきたシステムである。
そのシステムは、資本主義の形成によって明確な形をとるようになった。近世のオランダによって明確になり、近代のイギリスによって完成した。アメリカの覇権はイギリスのそれの変形版である。
一方、中国は一帯一路により、これまでとは違った覇権を形成しようとしているように思われる。だが、それは世界の「物流」の中心となることを目指した政策である。「自動的」に利益が得られる仕組みを作り出せてはおらず、覇権国家としての中国は成立し得ないのではないだろうか。ただ、ロシア・ウクライナ戦争以後、ロシアとの「ユーラシア覇権国家連合」形成により、その結論は変わりうる可能性がある。
手数料と資本主義という枠組みから世界史を捉えなおし、覇権国家の成立条件について論じる。