目次
第1章 数学教育における数学的対象の「美しさ」への着目と研究上の課題
第2章 数学的対象の美的性質とその感得を捉える枠組み
第3章 数学的対象の美的性質の感得過程のモデル
第4章 4局面モデルに基づく数学的対象の美的性質の感得の促進
第5章 3局面モデルに基づく数学的対象の美的性質の感得の促進
第6章 数学的対象の美的性質の感得の促進のための教材研究の方法
補論 「図形」領域に関する小学校学習指導要領及びその解説の実証的評価
著者等紹介
花園隼人[ハナゾノハヤト]
1984年鹿児島県出水市生まれ。2021年筑波大学大学院博士後期課程人間総合科学研究科学校教育学専攻 退学。東京学芸大学附属高等学校教諭、筑波大学人間系特任研究員を経て、宮城教育大学教員養成学系准教授。博士(教育学)(2022年3月 筑波大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
数学の「美」を数学教育の対象として位置づける
〈本書の概要〉
「美しさ」を反映した教育の基本的な考え方や方法を解明し、数学教育における新たな視点を提示する。「美しさ」という主観的で抽象的な概念が、学習意欲の向上と発展的思考の涵養に寄与することを明らかにした実践的考察の一冊。
〈本書からわかること〉
・数学的対象の「美しさ」とその教育的価値
数学者たちは数学的対象の「美しさ」を、その簡潔さ、明瞭性、対称性などの特性によって認識し、数学研究の道標や判断基準として活用してきました。本書では、この「美しさ」の数学教育における役割を明らかにし、学習者の数学的理解を深めるための方略を示しています。
・数学的対象の美的性質の感得プロセス
数学的対象の美的性質の感得過程を理論的にモデル化し、学習者が数学的な「美しさ」を理解しやすくするための指導法を提示しています。このモデルは、数学的対象の構成要素間の関係性や、問題解決の際の「美的静観」や「美的交感」「形成活動」といった概念に基づいて展開しています。
・数学の「美しさ」の感得と学習者意欲向上
数学者たちが「美しさ」を求めることが研究の原動力となるように、学習者にとっても数学的対象の「美しさ」を発見することが学習意欲の向上につながります。本書では、数学の「美しさ」を実感できるような授業設計の工夫を提案し、特に日本の学習者に見られる数学への関心の低さを克服するための指導法について詳しく論じています。
〈こんな先生におすすめ〉
・児童/生徒の数学的思考力や創造性を伸ばしたい先生
・算数/数学が苦手な児童/生徒の学習意欲を向上させたい先生
・「美しさ」に着目した算数/数学授業を行いたい先生