内容説明
在原業平の東下りは、多く口碑伝承の模糊とした不明の謎に包まれている。その不明さ・曖昧さの中に、典型的な古代の旅がある。幻影の人としての業平が、身をようなきものとして旅立つに至った動機を、藤原氏との確執の中にさぐり、歴史と民俗と文学との間に、自由に出没し自在に飛翔してゆきながら、日本の国土を通過して行った姿を跡付ける。
目次
業平の旅(日本の旅人;「業平の旅」;王氏在原業平 ほか)
東下り(伊勢尾張のあはひ;浅間の山;八橋 ほか)
洛中洛外業平地誌(惟喬親王の伝説;洛南 長岡・大原野;洛南 水無瀬・交野 ほか)
著者等紹介
池田彌三郎[イケダヤサブロウ]
1914年、東京都生まれ。慶應義塾大学国文学科卒業。折口信夫に師事。文学博士。慶應義塾大学文学部教授、NHK解説委員、国語審議会委員等を兼務。1977年、紫綬褒章受章。1982年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)