内容説明
江戸の昔から伝承されてきた歌舞伎の用語を手がかりに、歌舞伎という演劇の深層に横たわる美意識、世界観を解き明かす。舞台の秩序を支えるものはなにか。役者の持ち味とは、芸の味わいとはどういうものだろうか。より深く、豊かに歌舞伎を楽しむための見方がわかる。
目次
1 役者の身体をめぐって(立役―芝居を背負う、男の理想像;女形―女の本質を描く方法 ほか)
2 劇場の宇宙(鶉―見るものが同時に見られる構造;花道―変幻自在のもう一つの舞台 ほか)
3 ドラマツルギー(一番目―興行の基本を支える時代物;中幕―時代物と世話物をつなぐ息休めの一幕 ほか)
4 歌舞伎の思想(仁―潜在的後天的な身体条件;性根―役に一貫する心 ほか)
著者等紹介
渡辺保[ワタナベタモツ]
1936年東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、東宝企画室を経て、現在、演劇評論家、放送大学教授。2000年紫綬褒章受賞