内容説明
港町ブーヴィル。ロカンタンを突然襲う吐き気の意味とは…。一冊の日記に綴られた孤独な男のモノローグ。60年ぶり待望の新訳。存在の真実を探る冒険譚。
著者等紹介
鈴木道彦[スズキミチヒコ]
1929年東京生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業。一橋大学、獨協大学教授を経て、獨協大学名誉教授。M.プルースト『失われた時を求めて』(全13巻、集英社)の個人全訳で、2001年度讀賣文学賞、日本翻訳文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
20世紀フランス文学の金字塔、60年ぶりに完全新訳!
港町ブーヴィル。ロカンタンを突然襲う吐き気の意味とは……一冊の日記に綴られた孤独な男のモノローグ。
――物が「存在」であるように、自分を含めた人間もまた「存在」であることにロカンタンは気づく。そうだとすれば、われわれがこの世界に生きているのも偶然で、何の理由もないはずだろう。われわれはみな「余計な者」である。この発見は強烈で、作品全体に一種のアナーキーな空気を漂わせている。(中略)これは政治運動としてのアナーキズムの意ではなく、独りきりの孤立した人間が練り上げたラディカルな思想を指している。(訳者あとがきより)