内容説明
石膏像を乗せたオープンカーが踏切りで車輪を石畳の外へ踏み外し、石膏像が投げ出された。像の割れ目から赤い血が染み出て、中に人間が塗りこめられていることがわかった。死体の顔は潰されていたが、ある女性が警察を訪れ、右腕の傷痕から家出した姉のみや子であることを確認する。家出する前日、みや子の元には差出人不明の小包が届いていた!道化服に身を隠した悪魔の智恵が生み出した意外なカラクリと執念の愛憎とは?表題作のほか、明智シリーズ長編群の先駆けとなった作品「一寸法師」を収録。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和2年までに「D坂の殺人事件」「人間椅子」「パノラマ島奇談」などを執筆する。休筆を挟んで「陰獣」「芋虫」「孤島の鬼」などを発表。昭和4年の「蜘蛛男」より娯楽雑誌に長編を連載、「魔術師」「黄金仮面」「黒蜥蜴」など。昭和11年から「怪人二十面相」を少年倶楽部に連載、少年探偵シリーズは晩年まで続く。昭和40年7月28日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)