出版社内容情報
AI時代を生きる子どもの“人間力”を育てる音楽教育
感性・論理的思考力・自己表現力−−
これからの時代を支える「人間ならではの力」をどう育むか
急速に進むAI技術、価値観の多様化、そして学力だけでは測れない能力の重要性が高まるなか、子どもたちの教育環境は大きな転換期を迎えています。学習塾や習い事が増える一方で、「何を学ばせれば将来に役立つのか」「続けられるのか」「勉強と両立できるのか」といった保護者の悩みは尽きません。
こうした複雑な時代背景のもと、再び注目されているのが、感性と創造性、そして思考力と表現力を総合的に育てる「音楽教育」です。
1990年の創設以来、35年以上にわたり音楽教室を運営してきた著者は、ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・声楽・ソルフェージュ・リトミックなど、多彩な指導を通して数多くの子どもたちを育ててきました。その長年の実践から導き出したのが、「音楽教育こそが、AI時代に必要な“人間ならではの力”を育てる最良の学びである」という確信です。
本改訂版では、最新の教育研究や海外の事例、オンライン学習の拡大など、現代の学びを取り巻く変化を踏まえつつ、音楽教育が感性・論理的思考力・自己表現力をどのように養うのかをより深く掘り下げています。また、保護者から寄せられた多くの悩みや質問にも丁寧に答え、今の時代に合わせた実践的なアドバイスを強化しました。
「何を学ばせるべきか」が問われる時代に、音楽教育はどのように子どもを支え、未来を拓くのか。
その答えを、豊富な経験と事例から導き出した一冊です。
【目次】
はじめに
[序 章]なぜ今こそ音楽教育が必要なのか
AIの進化に伴って見直される音楽の意義
学習指導要領は時代を映す鏡
今の日本が抱える教育課題とは
感性を磨く「音楽教育」
論理的思考力を鍛える「音楽教育」
自己表現力を養う「音楽教育」
[第1章]音楽教育のあゆみ
〜古代ギリシア、欧米諸国、日本〜
古代から音楽は人間教育で重要視されてきた
欧米諸国では音楽を教育に有効活用している
◎音楽を「文化」として正しく理解することを目指すフランス
◎幼児期からの音楽教育で調和のとれた人格形成を目指すハンガリー
◎創造的音楽学習の先駆けとなったイギリス
◎アメリカの名門大学の学生たちに選ばれる教養科目としての音楽
◎音楽教育がドイツの移民・難民問題解決の糸口に
日本の音楽教育のあゆみ
学校における音楽教育の今
音楽教室は日本の音楽教育を支えてきた
音楽教室で育まれるのは、これからの時代を生きる力
【コラム】音楽教室に息づく伝統文化の精神
[第2章] 「感性」を磨く
〜本物を見極める価値判断力を身につける〜
感性を磨き価値判断力を高める
感性の豊かさで物事に対する反応は大きく変わる
音楽は人間の根源と関わってきた
音楽教育でどのように感性に働きかけるのか
◎季節や天候、風景などを思い浮かべ、音の印象を連想する
◎曲からイメージを膨らませて表現を磨く
◎比喩を通して音楽の本質を理解する
◎時代による楽器の違いを感じて最適な表現を見つける
音楽を通じてさまざまな芸術にアプローチできる
より多くの音楽作品に触れることで感性は一層豊かになっていく
音楽を学べばほかの芸術への世界が広がる
リトミックで0歳から音楽教育を始める
音楽教育を通じて自分で感じ、考える子が育つ
[第3章] 「論理的思考力」を鍛える
〜物事の本質を捉える力を身につける〜
「論理的思考力」は音楽表現には欠かせない
音楽は論理的に構成されている
音楽は数学との関わりが深い
子どもたちは演奏の練習で論理的思考力が鍛えられていく
楽譜を素早く正確に読めるようになるソルフェージュとは?
ソルフェージュの学習内容
ソルフェージュで幼児期から論理的思考力を養える
【コラム】開成中学校・高等学校にはピアノの授業がある
[第4章] 「自己表現力」を養う
〜ありのままの自分で社会と調和するために必要な力とは〜
発表会は「自己表現力」を伸ばす機会
発表会で「自己実現」を体感する
発