内容説明
万葉歌人・山上憶良。その原点は朝鮮半島生まれの「在日」という生い立ちにあった。「貧窮問答の歌」など貧困・病苦・老い・生死を見つめたリアルな社会派詩人―憶良の歌う悲しみは、現代に通じる悲しみである。万葉文学の第一人者であり、日本人の心性を追求し続ける著者が、「あまりに人間的な」男の人間像に迫る。
目次
第1章 歌人・憶良の根源をたどる
第2章 在日・帰国子女の悲しみ
第3章 都会人の悲しみ
第4章 インテリの悲しみ
第5章 ノンキャリア公僕の悲しみ
第6章 貧乏の悲しみ
第7章 病気の悲しみ
第8章 老いの悲しみ
第9章 望郷の悲しみ
第10章 愛と死の悲しみ
著者等紹介
中西進[ナカニシススム]
昭和4(1929)年東京生まれ。東京大学大学院修了。文学博士。大阪女子大学学長、京都市立芸術大学学長などを経て、奈良県立万葉文化館館長、京都市中央図書館館長、堺市博物館館長。『万葉集』などを主に、日本文化の研究・評論活動を続ける。読売文学賞、日本学士院賞、大佛次郎賞ほかを受賞。文化功労者。平成15年より「万葉みらい塾」を開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)