内容説明
革命・普仏戦争から第一次大戦へさかまく時代の奔流のなかに経済均衡理論の学燈をかかげつづけたワルラスの孤影。思想と時代を描く。
目次
第1章 一八七〇年前後―ウィーン会議から普仏戦争まで
第2章 経済の均衡―ワルラスが見た世界
第3章 革命期フランス数学の明暗―コンドルセからクールノーへ
第4章 欲望の価値学説―アリストテレースからガリアーニへ
第5章 効用と需要―常識から科学へ
第6章 生産と分配―書簡から読みとる人間模様
第7章 イタリアのローザンヌ学派―パレートの育む均衡理論の苗床
第8章 ウィーンの世紀末―数学・哲学そして経済学
終章 ワルラスの孤影
著者等紹介
丸山徹[マルヤマトオル]
1949年東京に生まれる。1972年慶應義塾大学経済学部卒業。現在、慶應義塾大学経済学部教授、経済学博士。専攻は函数解析学、数理経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
革命・普仏戦争から第一次大戦へさかまく時代の奔流のなかに、経済均衡理論の学燈をかかげつづけたワルラスの孤影をえがく。
レオン・ワルラス(1834-1910)とともにこの時代を生きた、クールノー、メンガー、マーシャル、パレート、バローネ、ガリアーニなどの主要な経済学者を活写するとともに、効用と需要、生産と分配、価格決定と市場均衡のメカニズムに重要な役割を果たした数理分析を解説し、ウィーン体制後の経済学の発展を学ぶ。
第一章 一八七〇年前後
――ウィーン会議から普仏戦争まで
旅の経済学者/ウィーン会議(一八一四)/ウィーン体制の崩壊/
二月革命(一八四八)/ドイツの発展/普墺戦争/普仏戦争(一八七〇)/
イタリアの統一/新教授就任/ガーヴ・ド・ポー河の谷間にて/
静かに行く者は健かに行く
第二章 経済の均衡
――ワルラスが見た世界
現代経済理論の共通感覚/経済均衡の古典的事例――スミスとリカードォ/
ワルラスの実験装置/純粋交換と主体の行動/市場均衡/
一般均衡の解法(その一)――ワルラス法則/
一般均衡の解法(その二)――相対価格の決定/
フィッシャーの一般均衡体系/価格の調整作用/純粋競争の仮定について/
生産を含む一般均衡/マーシャルの一般均衡理論/マーシャルとワルラス
第三章 革命期フランス数学の明暗
――コンドルセからクールノーへ
クールノーの数理経済学/需要函数/一般均衡への助走/独占と競争/
数学解析の方法/ フランス近代数学の群像/コンドルセと社会数学/
革命とコンドルセの悲劇/コンドルセと『夜霧よ今夜も有難う』/
ポアッソンからクールノーへ
第四章 欲望の価値学説
――アリストテレースからガリアーニへ
父から子へ/効用思想と正価思想の起源/中世正価思想の主観的性格/
中世正価論の社会経済的背景/
近世イタリアの効用思想(その一)――B・ダヴァンツァーティ/
近世イタリアの効用思想(その二)――F・ガリアーニ
第五章 効用と需要
――常識から科学へ
科学の言葉としての効用/需要函数の導出/
効用の可測性をめぐって(その一)――量としての効用/
効用の可測性をめぐって(その二)――ポアンカレとワルラス/
効用函数の形態と連関財の問題/比較静学/ジェヴォンズとワルラス
第六章 生産と分配
――書簡から読みとる人間模様
リカードォの差額地代説/リカードォからウィックスティードへ/
ヴィーザーからヴィクセルへ/限界生産力説/ウィックスティード対ワルラス/
ローザンヌの状況/失われたバローネの論文/限界生産力説の位置づけ/
アムシュタインの貢献
第七章 イタリアのローザンヌ学派
――パレートの育む均衡理論の苗床
ローザンヌ学派のイタリア的特性/師と弟子/イタリアの政情/
大衆民主々義への攻撃――甦るマキャヴェッリ/不和の原因/
パレートの一般均衡理論/ヴォルテッラ(その一)――統一イタリアの科学界/
ヴォルテッラ(その二)――経験主義/積分可能条件(その一)――その意味/
積分可能条件(その二)――アントネッリとワルラス/
ワルラスを超えて――パレートの社会学
第八章 ウィーンの世紀末
――数学・哲学そして経済学
ウィーン――華麗なる没落/メンガーの経済学/総合的ア・プリオリ/
経験論の立場/先験論の立場/科学の限界/メンガーの先験論と実在論/
第一次世界大戦への道(その一)/ 第一次世界大戦への道(その二)/
サラエヴォの銃声/メンガーのセミナー/ウィーンの数学と哲学/枯葉のように
終 章 ワルラスの孤影
注
事項索引
人名索引