内容説明
本書はおよそ一千年(西暦1000年頃〜現在)にわたるヨーロッパ経済の概説である。ただし、ヨーロッパの特定の国というより、どちらかといえばヨーロッパそれ自体のありように視線を向けたい。従って、ヨーロッパ経済史の一試論として、ここでは各国経済史の足し算をするのは避け、できるだけまとまった一つの地域としてのヨーロッパの経済的変遷を書こうと努めた。また本書のもう一つの特色は、工業化以前のヨーロッパ経済と戦後ヨーロッパ経済、特にヨーロッパ統合関係の叙述を重視している点である。読者としては経済学科や史学科に学ぶ学生はもとより、一般の歴史愛好家、そして広くヨーロッパに強い関心をもつ人を想定している。
目次
序章 ヨーロッパの空間的枠組み
第1章 長期の時間軸で見るヨーロッパ経済
第2章 ヨーロッパの原風景―中世ヨーロッパ経済のプロフィール
第3章 ヨーロッパ人の地平の拡大
第4章 ヨーロッパの「分裂」―国民経済の胎動
第5章 パークス・ブリタニカ―十九世紀諸国民経済のヒエラルキー
第6章 帝国主義時代と二つの大戦―国民経済理念の挫折
第7章 経済統合とヨーロッパの再生
第8章 ヨーロッパ統合の深化―EUの誕生
第9章 経済通貨同盟の設立
著者等紹介
朝倉弘教[アサクラヒロノリ]
1928年茨城県に生まれる。1951年東京大学農学部卒。大蔵省勤務、また通算20年間在欧国際機関勤務、元東京国際大学経済学部教授
内田日出海[ウチダヒデミ]
1953年熊本県に生まれる。1987年早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。1990年ストラスブール大学大学院、博士号(歴史学)取得修了。現在、成蹊大学経済学部教授、早稲田大学・亜細亜大学講師