目次
1 高校の熱力学
2 大学の熱力学へ―微分積分、理想気体
3 平衡状態と温度
4 熱力学の法則
5 エントロピー
6 いろいろな熱力学ポテンシャル
7 化学ポテンシャルと相平衡
8 複数の成分からなる系
著者等紹介
上羽牧夫[ウワハマキオ]
1980年名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士)。1982年ラウエ・ランジュヴァン研究所研究員。1985年東北大学金属材料研究所助手。1992年名古屋大学教養部助教授。1993年名古屋大学理学部助教授。2007年名古屋大学大学院理学研究科教授。2016年愛知工業大学基礎教育センター教授。専門、物性理論、結晶成長理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
熱力学は身近なものが対象であるにもかかわらず考え方が抽象的なため敬遠されがちだが,いったん身に着ければ手軽に使えて役に立つものである。本書では,物理的意味の理解を深めるための問題と有用性が実感できる問題を厳選して解説した。
1.高校で物理を学習していない人のために,第1章に熱現象に関する高校初級レベルの説明と問題を付け,大学の熱力学とのつなぎとなる数学の説明および分子運動から気体を理解することを第2章の内容とした。ここをていねいに勉強すれば,熱現象に限っては高校で物理をとらなかったというハンディは無くなるはずだ。
2.しかし最後の到達目標は,妥協することなく熱力学の深い理解を得て,実用的に使いこなせるという高いところに置いている。
3.問題数は多くないが,すべての問題に詳しい解答を付け,それを熟読することによって熱力学の理解が深まるように解説した。熱力学の有用性に感動するのは後ろの章の問題をやる時である。問題数は少なく抑えてあるので,途中まででよしとするのではなく,最後までやりきってほしい。
1 高校の熱力学
例題1【比熱の測定と熱量の保存】
例題2【水の三態】
例題3【ボイル-シャルルの法則】
例題4【理想気体と熱力学の第1 法則】
2 大学の熱力学へ―微分積分,理想気体―
例題5【積分可能条件】
例題6【高度による気圧の変化】
例題7【理想気体の分子描像】
3 平衡状態と温度
例題8【シリンダー中の気体に対するいろいろな操作】
例題9【理想気体の準静的断熱変化】
4 熱力学の法則50
例題10【状態変化の経路による仕事や吸熱量の差異】
例題11【理想気体のカルノーサイクル】
例題12【いろいろなカルノー機関(カルノーサイクル)の効率】
5 エントロピー
例題13【理想気体のエントロピー】
例題14【エントロピーの数値】
例題15【混合エントロピー】
例題16【黒体輻射のカルノーサイクル】
6 いろいろな熱力学ポテンシャル
例題17【エンタルピーの意味】
例題18【理想気体での最大仕事】
例題19【定積熱容量と定圧熱容量】
例題20【等温圧縮率と断熱圧縮率】
例題21【ファンデルワールスの状態方程式】
例題22【ジュール-トムソン効果】
例題23【理想的なゴム】
7 化学ポテンシャルと相平衡
例題24【熱力学的安定性と熱容量,圧縮率】
例題25【気体-液体の相転移】
例題26【2 相共存と自由エネルギー】
例題27【黒体輻射の熱力学諸量】
8 複数の成分からなる系
例題28【不揮発性用溶質による飽和蒸気圧の降下】
例題29【混合物の化学ポテンシャルとギブス自由エネルギー】
例題30【理想気体混合物としてのプラズマ】
A 付録参考文献
B 発展問題の解答
須藤 彰三[ストウ ショウゾウ]
岡 真[オカ マコト]
上羽 牧夫[ウワハ マキオ]