内容説明
藤原定家。あの『百人一首』の編者。若くして才能を発揮し、「達磨歌」と揶揄される前衛歌を詠んだ。古典の世界の上に立ち、失われた王朝美の再現を目指す唯美的歌風が後鳥羽院の推輓を受け、『新古今和歌集』の撰者の一人となる。以後、歌壇の第一人者として君臨した。承久の乱後『新勅撰和歌集』を撰し、また王朝の古典テキストの継承に多大の功績を果たし、子孫から神のように崇められてその権威を中世に長く誇ったことで知られる。国宝の漢文日記『明月記』数十巻を今に残す。
目次
桜花またたちならぶ
天の原思へばかはる
いづくにて風をも世をも
見渡せば花も紅葉も
あぢきなくつらきあらしの
わすれぬやさはわすれける
須磨の海人の袖に吹きこす
帰るさの物とや人の
里びたる犬の声にぞ
問はばやなそれかとにほふ〔ほか〕
著者等紹介
村尾誠一[ムラオセイイチ]
1955年東京都生。東京大学大学院修了。博士(文学)。現在、東京外国語大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)