出版社内容情報
ゴルフを長く続けていると、誰もが同じ疑問にぶつかる。なぜ昨日は飛んだのに今日は当たらないのか。なぜ練習場では打てるのにコースでは崩れるのか。スイング動画を見返しフォームを修正しても、答えは霧のようにすり抜けていく。
なぜゴルフは、なかなかうまくならないのか――。その理由を解くためには、「感覚ではなく科学的理解が必要」なのだ。本書は、形を追うゴルフ"から脱却し、スイングをボールにエネルギーを伝えるシステムとして理解することを提案する一冊。
著者は、長年にわたり欧州を拠点に活躍した元国際金融マン。そのキャリアの傍ら、米国Jacobs 3D Golf にて科学的なスイング理論を学び、50代半ばでティーチングプロ資格を取得。これをきっかけに金融の世界からゴルフサイエンスの世界へと劇的に転身した。その歩みにも触れておく。
本書は、この著者自身の再学習のプロセスを背景に、クラブの重心点に働く6種類の力(Force & Torque)を解析。さらにIMU(慣性センサー)を用いた実測データをもとに、クラブという道具がどのように力を受け取り、整え、ボールへ伝えるのか――その全体像を物理と感覚の両面から体系的に解説する。また、R&Aルールに基づくクラブ設計の思想や、クラブと人間のインターフェースに隠された物理的秩序にも言及する。
ゴルフは今なお、仕事仲間や取引先との交流・信頼構築の場として重要な役割を果たしており、科学的思考によってプレーを再設計することは、ビジネスでの思考力・再現力の鍛錬(リスキリング)にもつながると考えている。
本書の目的は、ゴルファー一人ひとりが、自分のスイングを科学的に設計し直す力――再現性を生むリテラシーを身につけることにある。読後、読者は「なぜボールが飛ぶのか」「なぜ曲がるのか」を、自分の言葉で説明できるようになるだろう。
【目次】
はじめに なぜ今、「ゴルフサイエンス」なのか
第1章 ゴルフは「エネルギーをマネージメントする」スポーツ
・スイングの本質は「力の伝達」である
・クラブは「エネルギーを運ぶ構造体」である
・クラブという「道具」を理解することから始まる
第2章 クラブと人のインターフェース
・クラブ設計の思想とR&Aルールの限界
・重心の移動とモーメントの設計哲学
・素材の変遷と重心設計の進化
・シャフトが"エンジン"である理由
・エネルギーを共有する身体と道具
第3章 スイングを「力学」で解く
・身体が生み出すエネルギーの本質
・クラブへの唯一の入力点「Hub」とは何か
・Hub Pathは"結果"であり"操作対象"ではない
・Hub PathとCOM Pathは同一ではない
・原因を整えれば、結果は自然に整う
コラム:ForceがRotationを生み、Torqueがそれを整える
──Jacobs3Dの力学的前
第4章 再現性と効率性の科学
・ForceとTorque──スイングを生む唯一の原因
・グリップで引かれて加速する
・Hub Pathが描く軌跡──Hubは「支点」ではなく
「エネルギーの通過点」である
コラム:Hub Pathはなぜ円にならないのか
──曲率半径の変化が示す、
エネルギー伝達としてのHub
・人間の身体は「回転体」ではない…
コラム:相対スイングプレーンをデータで見る
──なぜスイングプレーンは「1枚の平面」に
固定できないのか…
・相対スイングプレーンという考え方
──形ではなく「条件」としてスイングを見る
・結論:スイングは「起こるもの」である
第5章 ゴルフサイエンスは誤った説明を排除する
・スイングが「起こる」条件
──形ではなく、条件と時間構造がすべて
・慣性という視点
──人間とクラブを「1つのシステム」として捉える
・なぜ人によって現れ方が違うのか
──個人差は「ズレ」ではなく「条件差」である
コラム:慣性とシステムの視点
──人間とクラブは、どのような慣性系として振る舞っているのか
・理論が示すもの、理論が示さないもの
──スイングを理解するための射程
コラム:Workはどのように積み上がり、KEはどう醸成されるのか
──LinearとAngularの役割分担を読み解く
第6章 学び直しという