内容説明
貨幣の価値は、物々交換の為の自発的な商品貨幣という意味合いよりも、国家による法制上の創造物であることに由来する―。本書は、なぜ貨幣(お金)が今ある姿のようになっているのかを、様々な事例を交えてロジカルに説明した幻の名著。ケインズはインド論や貨幣論でクナップに重なる理解を示し、ヴェーバーは貨幣論ではクナップ(とミーゼス)を一番高く評価し、本書を偉大な名作の1つと呼んだ。そのクナップの理論が21世紀に再び脚光を浴びている。日本が膨大な財政赤字を抱えているにもかかわらず揺るがない理由を解明する理論として注目されている現代貨幣理論(MMT)では必ず言及され、日本でも大いに注目されたグレーバー『負債論』でも高く評価されている。本書は、その知られざる名著の待望の完訳である。
目次
第1章 支払、貨幣と金属(金属重量測定制―価値単位の名目性;表券的支払手段 ほか)
第2章 国内貨幣制度の秩序(貨幣の機能的分類;複金属主義と本位通貨の類型 ほか)
第3章 外国との貨幣流通(本位間相場;金銀の価値比率 ほか)
第4章 主要国概略(英国;フランス ほか)
著者等紹介
クナップ,ゲオルク・フリードリヒ[クナップ,ゲオルクフリードリヒ] [Knapp,Georg Friedrich]
1842.3.7‐1926.2.20。ドイツの経済学者。化学者の子としてギーセンで生まれる。ミュンヘン、ベルリン、ゲッティンゲンの大学で学ぶ。1862年学位取得後にエンゲルのもとで統計学を学ぶ。67年ライプツィヒ市統計局長に就き、統計学の論文で教授資格を得て69年にはライプツィヒ大学統計学の員外教授職を兼任。ドイツ社会政策学会の創設メンバーの一人。普仏戦争後にドイツ領となった旧フランス・アルザス地方の、ドイツ帝国管轄下で新装されたシュトラースブルク大学法学・国家学部の教授に74年に招聘され、第一次世界大戦末まで勤務した。82年にベルリン大学に転出したG.シュモラーとは元同僚の関係
小林純[コバヤシジュン]
立教大学名誉教授。1950年生まれ
中山智香子[ナカヤマチカコ]
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1964年生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
【ケインズ、ウェバーが絶賛し、MMTの元祖ともされる幻の貨幣論】
貨幣の価値は、物々交換の為の自発的な商品貨幣という意味合いよりも、国家による法制上の創造物であることに由来する――。本書は、なぜ貨幣(お金)が今ある姿のようになっているのかを、様々な事例を交えてロジカルに説明した幻の名著。ケインズはインド論や貨幣論でクナップの理解を前提にし、マックス・ヴェーバーは貨幣論ではクナップ(とミーゼス)を一番高く評価し、本書を偉大な名作の1つと呼んだ。
そのクナップの理論が21世紀に再び脚光を浴びている。日本が膨大な財政赤字を抱えているにもかかわらず揺るがない理由を解明する理論として注目されている現代貨幣理論(MMT)では必ず言及され、日本でも大いに注目されたグレーバー『負債論』でも高く評価されている。本書は、その知られざる名著の待望の完訳。