内容説明
三十歳のケマルは一族の輸入会社の社長を務め、業績は上々だ。美しく気立ての良いスィベルと近々婚約式を挙げる予定で、彼の人生は誰の目にも順風満帆に映った。だが、ケマルはその存在すら忘れかけていた遠縁の娘、十八歳のフュスンと再会してしまう。フュスンの官能的な美しさに抗いがたい磁力を感じケマルは危険な一歩を踏み出すのだった―。トルコの近代化を背景に、愛に忠実に生きた男の数奇な一生を描く長篇小説。
著者等紹介
パムク,オルハン[パムク,オルハン] [Pamuk,Orhan]
1952年、イスタンブル生まれ。トルコ初のノーベル文学賞作家。イスタンブル工科大学で建築を学んだあと、イスタンブル大学でジャーナリズムの学位を取得。その後、コロンビア大学客員研究員としてアメリカに滞在した。1982年発表のデビュー作『ジェヴデット氏と息子たち』(未訳)がトルコで最も権威のあるオルハン・ケマル小説賞を受賞。その後に発表した作品もトルコ、ヨーロッパの主要文学賞に輝き、世界的な名声を確立する。1998年発表の『わたしの名は赤』はニューヨーク・タイムズをはじめとする世界の有力紙誌で激賞され、国際IMPACダブリン文学賞を受賞。2002年の『雪』も同様の高評価を受け、2006年にはノーベル文学賞を受賞した
宮下遼[ミヤシタリョウ]
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学、大阪大学言語文化研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
オルハン・パムク[パムク オルハン]
著・文・その他
宮下 遼[ミヤシタ リョウ]
翻訳