内容説明
一九四七年五月三日、日本国憲法施行とともに象徴天皇制が誕生した。「統治権の総攬者」から国政に関する権限を持たない「象徴君主」への転換を迫られた天皇は、自らの理想とする君主像とGHQ・日本政府が要求する象徴としての役割のギャップに苦悩しつつ、側近たちと共に抵抗を試みていった―。生前退位問題をめぐって、皇室典範および象徴天皇制の在り方が注目を集めるなか、本書は敗戦直後から占領時代に焦点をあて、天皇・宮中・政府・GHQ間の複雑な力学と激しい相克の中で象徴天皇制が成立する過程を、膨大な史料を読み解きながら描き出す。
目次
序章 象徴天皇制とはどんな君主制形態なのか
第1章 敗戦前後の国体危機と昭和天皇
第2章 象徴天皇制への道
第3章 戦後における昭和天皇の行動原理
第4章 象徴天皇制の成立過程にみる政治葛藤―一九四八年の側近首脳更迭問題
第5章 吉田茂の復権と象徴天皇制への対応
終章 象徴天皇制のゆくえ―昭和から平成へ
著者等紹介
茶谷誠一[チャダニセイイチ]
1971年石川県生まれ。2006年立教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、明治大学、立教大学兼任講師。専攻は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
生前退位を巡り、今、皇室典範・象徴天皇制の在り方についても、多くの議論が起こっている。『昭和天皇実録』など近年公開・発見された新史料を精緻に読み解き、象徴天皇制の成立過程を鮮やかに描き出す。