内容説明
情愛が昂じて怪奇を成す物語の数々。上田秋成の流麗な幻想美が繊細な筆致で甦る。
著者等紹介
木原敏江[キハラトシエ]
1948年(昭和23年)、東京生まれ。1969年「別冊マーガレット」に掲載された『こっち向いてママ!』でデビュー。84年『桜の森の桜の闇』『とりかえばや異聞』の発表で始まった連作「夢の碑」シリーズも、97年まで執筆が続いた大作。85年、同シリーズにより第30回小学館漫画賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
『雨月物語』は上田秋成(享保一九〜文化六[西暦一七三四〜一八〇九]年)の手になる怪談小説集で初稿は昭和五(一七六八)年に成立したが推敲を重ね、出版されたのは八年後の安永五(一七七六)年。漢文による序と五巻九篇からなり、中国白話小説によって、想を構えた。白話とは口語文のことで、秋成は原作の持つ話術を洗練し、物語の幻想的な場面を生かした流麗な文章の雅文で綴っていくなかで、軽薄な世間に対する警告の意味をも含ませた。
本全集では九篇のなかから、特にその特徴が現れている、「菊花の約」「浅茅が宿」「吉備津の釜」「蛇性の婬」の四篇を選んだ。