内容説明
世界とは「わたしの表象」、人生とは。苦悩、そして解脱とは。
目次
第1巻 表象としての世界の第一考察―根拠の原理に従う表象、すなわち経験と科学との客観(世界はわたしの表象である。;主観と客観は直かに境界を接している。;根拠の原理の一形態としての時間。世界は夢に似て、マーヤーの面紗に蔽われている。;物質とは働きであり、因果性である。直観能力としての悟性。 ほか)
第2巻 意志としての世界の第一考察―すなわち意志の客観化(事物の本質には外から近づくことはできない。すなわち原因論的な説明の及びうる範囲。;身体と意志とは一体であり、意志の認識はどこまでも身体を媒介として行なわれる。;身体は他のあらゆる客観と違って、表象でありかつ意志でもあるとして二重に意識されている。;人間や動物の身体は意志の現象であり、身体の活動は意志の働きに対応している。それゆえ身体の諸器官は欲望や性格に対応している。 ほか)
著者等紹介
ショーペンハウアー[ショーペンハウアー][Schopenhauer,Arthur]
1788〜1860。19世紀ドイツの厭世思想家。ハンザ同盟の自由都市ダンツィヒ(現、グダニスク)に生まれる。父は富裕な商人、母は女流作家。父に伴われて幼少期からヨーロッパ諸国を旅行する。父の死後、遺志に従って商人の見習いをはじめたが、学問への情熱を断ち切れず大学に進む。1918年に主著『意志と表象としての世界』を完成、ベルリン大学講師の地位を得たが、ヘーゲル人気に抗することができず辞職。生を苦痛とみるそのペシミズムは日本でも大正期以来、熱心に読みつがれてきた
西尾幹二[ニシオカンジ]
1935年(昭和10年)東京生まれ。1958年、東京大学文学部独文科卒業。文学博士。電気通信大学名誉教授。ニーチェ、ショーペンハウアーの研究を専門とする。その主著の翻訳者でもあるが、早くから西欧との比較に基づく文化論を展開し、文芸、教育、政治をめぐる評論家としても活躍している