商品説明内容説明
「西の元政、東の芭蕉」と言われ、芭蕉はもとより、西鶴、季吟、一茶、蕪村から宮沢賢治、姉崎正治に及ぶ錚々たる文人たちに敬慕された江戸初期の大文化人、元政上人。古来、わが国の芸術・文学に多大な影響を与えてきた法華経に、上人は幼少の頃から親しみ、天台三大部を熟読。経典読解に資する膨大な著作をものして、宗門内外の仏教理解を深化させ、広博な学識と教養に裏付けられて漢詩、和歌、紀行文など数々の秀作を遺した。本書は、江戸期第一級の学僧の人物像とその文化史的、宗教史的意義を没後三五〇年の今、忘却の彼方から蘇らせる画期的な労作。
目次
第1章 深草隠棲
第2章 元政上人の漢詩
第3章 元政上人の和歌
第4章 紀行文『身延道の記』
第5章 母の死を見届けて
第6章 元政上人の詩歌と仏教
第7章 ルーツはインド仏教に
著者等紹介
植木雅俊[ウエキマサトシ]
1951年、長崎県生まれ。仏教思想研究家。九州大学大学院理学研究科修士課程修了、東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。91年より東方学院において中村元氏のもとでインド思想・仏教思想、サンスクリット語を学ぶ。2002年、お茶の水女子大学で人文科学博士号取得。著書に、『梵漢和対照・現代語訳 法華経』(岩波書店、2008年、毎日出版文化賞受賞)、『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(岩波書店、2011年、パピルス賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
元政上人は、法華宗の僧侶としてだけでなく、漢詩、和歌、文筆に秀でた江戸時代有数の文化人として知られていた。
元政上人の名前を知る人は、今となってはほとんどいないかもしれない。まさに?忘れられた詩人・文学者?である。けれども、松尾芭蕉や、井原西鶴、北村季吟、小林一茶、宝井其角、与謝蕪村といった江戸時代を代表する文化人たちがこぞって元政上人を仰ぎ、讃嘆していた人であり、宮沢賢治の「雨ニモマケズ手帳」にも「元政」の名前を挙げて上人の短歌がメモされていたことなどを知れば、没後三百五十年の歳月を経た今、元政上人を改めて見直すことも、日本文化の源流を知る上で重要なことであろう。――「はしがき」より
植木雅俊[ウエキマサトシ]
著・文・その他
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