内容説明
戦前の松竹では「小津は二人いらない」と言われ、戦後の東宝では名作を連打しながら、黒澤作品の添え物も撮った監督成瀬巳喜男。「浮雲」の高峰秀子、「めし」の原節子、「流れる」の山田五十鈴、「鰯雲」の淡島千景、「おかあさん」の香川京子…なぜ彼の撮った女優はかくも美しく、懐かしいのか?「行きつく映画は成瀬」と言う著者が愛惜を込めて刻んだ名匠の世界。
目次
「貧乏くさい監督」
消えゆく芸者の美しさ
金をめぐる物語
女に金を借りる男たち
愛すべき市井劇「おかあさん」
「私たちって、行くところがないみたいね」
卓袱台のある暮らし
郊外農家の人びと
未亡人たちの強さ
路地に生きる単独者
妻たちの不信のとき
子供たちを見つめる
著者等紹介
川本三郎[カワモトサブロウ]
1944年東京生まれ。文学、映画、東京、旅を中心とした評論やエッセイなど幅広い執筆活動で知られる。著書に『大正幻影』(サントリー学芸賞)、『荷風と東京』(読売文学賞)、『林芙美子の昭和』(毎日出版文化賞・桑原武夫学芸賞)、『白秋望景』(伊藤整文学賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
高峰秀子、原節子、山田五十鈴たちは何故かくも美しく懐かしいのか?著者が最も愛する映画監督とその時代を縦横に論じた感動的評論。
貧しくも健気な昭和。美しくも儚い女優たち。人生に寄り添ってくれる映画がここにある。戦前の松竹では「小津は二人いらない」と言われ、戦後の東宝では名作を連打しながら、黒澤作品の添え物も撮った寡黙な名匠・成瀬。「浮雲」の高峰秀子、「めし」の原節子、「流れる」の山田五十鈴、「鰯雲」の淡島千景、「おかあさん」の香川京子……なぜ彼の撮った女優はかくも美しく、懐かしいのか? 映画と昭和を刻む感動的評論。