内容説明
意外なことに『曾根崎心中』というのは「恋」を描くことだけをテーマにした、日本で最初の演劇作品なのです。―『曾根崎心中』。「熊谷陣屋」は、収拾のつかないほど無惨な物語です。なんだって、並木宗輔はこんなドラマを書かなければならなかったのでしょう?私の思うところはただ一つです。「泣くことが許されない男のためのドラマを書く」です。―『一谷嫩軍記』。他、『夏祭浪花鑑』『双蝶々曲輪日記』『摂州合邦辻』などを精読。ぶっ飛んだ設定、複雑なドラマの中に愛おしい人間達が息づく―。最高の案内人が遺した最後の案内。
目次
『小栗判官』をご存じですか
『出世景清』という新しい浄瑠璃
恋のはじめの『曾根崎心中』
浪花のヤンキーの『夏祭浪花鑑』
『双蝶々曲輪日記』のヒューマンドラマ
虚もまた実の『摂州合邦辻』
「熊谷陣屋」の『一谷嫩軍記』
不条理が顔を出す『伊賀越道中双六』