内容説明
本書は、高分子系やミセルなどの分散系、ゲルなどといったソフトマターの構造やダイナミクスの研究に中性子散乱を利用している研究者や、これから中性子散乱実験をおこなおうとしている人をおもな対象としているが、X線散乱や光散乱なども含めた散乱法についての一般の入門書として、大学の教養課程、専門課程、さらには大学院の授業で教科書あるいは参考書として活用していただければ幸いである。
目次
第1章 序章
第2章 散乱の物理数学
第3章 中性子の基礎
第4章 小角中性子散乱
第5章 中性子反射率
第6章 中性子準弾性散乱
第7章 中性子イメージング
第8章 中性子計測法と中性子散乱施設・実験装置
著者等紹介
柴山充弘[シバヤマミツヒロ]
工学博士。京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻博士課程単位認定退学。京都工芸繊維大学教授を経て、東京大学物性研究所教授。東大退官後、2020年より総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センター長。東京大学名誉教授。専門は高分子構造、高分子物性、とくに中性子散乱、X線散乱、光散乱による高分子多相系多成分系、高分子ゲルの構造及びダイナミクス(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
分子系を始めとするソフトマターの構造とダイナミクスの研究者(院生、大学研究者、企業研究者)に向けた、第一人者による解説書。
第1章 序章
1.1 X 線・中性子線・光散乱の歴史
1.2 中性子源の歴史
1.3 中性子散乱で何がわかるのか?
1.4 物質・生命の階層構造とソフトマター中性子散乱
1.5 中性子散乱に関する質問
1.6 本書の特徴と構成
第2章 散乱の物理数学
2.1 波と三角関数、複素数
2.2 フーリエ級数
2.3 フーリエ変換
2.4 章のまとめ
2.5 付録
第3章 中性子の基礎
3.1 中性子
3.2 散乱と散乱強度
3.3 章のまとめ
3.4 付録
第4章 小角中性子散乱
4.1 小角散乱とは
4.2 希薄粒子系
4.3 非粒子系の散乱関数
4.4 高分子系
4.5 漸近挙動
4.6 フラクタル
4.7 多成分多相系
4.8 章のまとめ
4.9 付録
第5章 中性子反射率
5.1 中性子反射率とは
5.2 運動学的理論: kinematical theory
5.3 動力学理論: dynamical theory
5.4 実測例
5.5 章のまとめ
5.6 付録
第6章 中性子準弾性散乱
6.1 弾性散乱の干渉性散乱と非干渉性散乱
6.2 準弾性散乱と非弾性散乱
6.3 中性子スピンエコー法、NSE
6.4 章のまとめ
第7章 中性子イメージング
7.1 中性子イメージング
7.2 中性子イメージングシステム
7.3 中性子イメージング手法
7.4 章のまとめ
7.5 付録
第8章 中性子計測法と中性子散乱施設・実験装置
8.1 角度分散法
8.2 飛行時間法
8.3 ヒストグラム法とイベント法
8.4 中性子散乱実験施設・実験装置
8.5 中性子散乱実験の申請から実験まで
8.6 章のまとめ