内容説明
人間には、道徳に根拠を与える能力があるか?カントは、人の内面のあり方に基づいて行為の道徳的判断を語る。自分や他人の行為の根拠を、外側から観察して見極めることはできない。しかし、その行為を(実践する)という観点を取るなら、行為者の内面にアプローチできるかもしれない―。『純粋理性批判』『判断力批判』と並び三批判書と称される主著『実践理性批判』を、著者新訳本文の抜粋と丁寧な解説で読み解く入門書の決定版。
目次
第1章 闘うカント―序文から
第2章 「実践理性の批判」という構想―緒論から
第3章 純粋実践理性の根本法則に向けて―§1から§4
第4章 純粋実践理性の根本法則の提示―§5から§7
第5章 自律とはどういうことか―§8
第6章 自由のリアリティに向けて
第7章 実践的使用における純粋理性の権能
第8章 善悪とは何か
第9章 自由な行為の全体像
第10章 道徳的行為の動機
第11章 批判的観念論と自由
第12章 純粋実践理性の弁証論について
第13章 実践理性の二律背反とその解決
第14章 純粋実践理性の優位
第15章 純粋で実践的な理性信仰
第16章 純粋実践理性の方法論
第17章 結語
著者等紹介
御子柴善之[ミコシバヨシユキ]
1961年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。日本カント協会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
『純粋理性批判』の精緻な実現を記す『実践理性批判』。「義務論」を念頭に本書を読み解けば、作品とその思想について新たな姿が見えてくる。現在日本のカント研究を牽引する第一人者による最上の入門書。