商品説明内容説明
飢えた虎に身体を食わせた王子、自分の肉を割き鷹から鳩を救った王―。釈尊の前世を鮮烈に描く本生譚は、インドからはるか日本へ渡り、大乗仏教の慈悲を説く物語として定着した。しかしこの「流血」の倫理は、苦行を否定する仏陀の教えと対極にあるものではないのか。それがなぜ、明恵、近松門左衛門、宮澤賢治、和辻哲郎、手塚治虫らを魅了しつづけたのか。思想や表現における受容から、仏教と文学に新たな光をあてる日本文化論。
目次
序章 菩薩本生譚の起源と性格
第1章 身を割く王―日本におけるシビ王本生譚
第2章 血の色―日本における薩〓王子本生譚
第3章 明恵伝記資料における捨身と菩薩本生譚
第4章 宮澤賢治と菩薩本生譚
第5章 和辻哲郎における本生譚
終章
著者等紹介
君野隆久[キミノタカヒサ]
1962年東京都生まれ。京都造形芸術大学芸術学部教授。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位修得退学(比較文学比較文化専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
極限の慈悲か? 反仏教の倫理か?
明恵や近松門左衛門、宮澤賢治、和辻哲郎らを魅了した
捨身=〈身体を犠牲にする他者救済〉の物語。
日本における受容から、仏教と文学に新たな光をあてる。
「挑戦的な爪を隠した野心作」 宗教学者 山折哲雄氏 推薦
──虎に生きたままみずからの身体を与えたり(「捨身飼虎」)、鳩の身代わりになって血にまみれながらみずからの肉を割いたりするふるまいは(「シビ王」)、どうみても苦行の極限であり、こんな血なまぐさいお話は、そもそも仏教の教えと正反対のものなのではないか? どうしてこのような物語が「菩薩」のおこないを語る文学として成立したのか? そしてこうしたお話は、日本の文学や文化に受け入れられたのだろうか? どのような形で? (「はじめに」より)
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